2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 浩之 Osaka University, 基礎工学研究科, 特任助教 (90506445)
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Keywords | 酸化物界面 / トランジスタ / 磁性 / 電界効果 / 反局在 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
酸化物からなる界面に電界効果によってキャリアを導入し、界面金属状態での物性、特に磁性と伝導との相関現象を明らかにすることを目的とした。その結果、初年度の後半に、KTaO_3の界面において電界誘起金属相の実現に成功した。 低温(2K)において磁気抵抗を詳細に評価した結果、電子の「反局在効果」と呼ばれる現象を酸化物系においてはじめて発見した。これは電子の波としての性質が干渉効果を引き起こす現象であるが、特に電子のスピンがある一定の距離の間で回転すると反局在効果として現れる。この実験から、電子の位相緩和長、スピン回転長という長さスケールを酸化物界面においてはじめて測定することに成功した。 ペロプスカイト系酸化物界面ではこれまで素子作製の難しさからドハース振動が二次元電子系では観測されておらず、電子の量子性を直接に反映した物理量を測定した例がなかった。今回、反局在という量子効果を通じてそれに成功したことは酸化物界面における物理を明確にするうえで大きな意義があると考えている。
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