2008 Fiscal Year Annual Research Report
黄鉄鉱中に存在する重金属元素のナノ・原子レベル解析
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20840035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 Kyushu University, 理学研究院, 准教授 (40452792)
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Keywords | arsenian pyrite / Carlin-type deposit / Nano-scale / Toxic metals |
Research Abstract |
本研究課題は、浅熱水性鉱床におけるAuなど貴金属元素の重要なホスト鉱物であるarsenian pyrite,Fe(As^<-1>,S)_2に、貴金属、有害重金属がどのような状態で存在しているか、原子・ナノレベルの分析から明らかにすることを目的としている。 本年度の実行計画に基づき、カーリンタイプ・熱水タイプ鉱床の観察・分析を行ったところ、ペルー、Yanachocha金鉱床のパイライト試料の中に、通常のAsの形式とはことなるAs3+のパイライトを初めて発見した。Asは一つのパイライト粒子の中でAsに富むマイクロゾーニングを構成していた。XPS測定からAsは3価の陽イオンとして置換していることが分かり、微量元素成分は、3.05at%ofAs and0.53at.%,0.1at.%,0.27at.%,0.22at.%,0.08at.%and0.04at.%ofPb, Au, Cu, Zn, Ni, andCoであった。HRTEM観察から、Asフリーのコア粒子にシャープな境界でゾーニングが開始しているのが見られた。また、各ゾーンは8-20nm、100-300nm、400-900nmのサイズの異なるナノ結晶の集合体から構成され、結晶サイズが小さいものほど高濃度の有害重金属を含有することが示された。 熱力学的相図関係から、この新しい形式のAs-pyriteは、比較的酸化的で3価のAs化学種が存在するまれな条件下(高sulfidation epithermal鉱床と浅部の地下水系との混合条件)で形成されることが分かり、そのような条件下でのナノ結晶が重金属取り込みメカニズムの重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 一方、ドミニカ共和国、Pueblo Viejoのパイライトは(Fe_0.998As_0.003)_1.001S_2から(Fe_0.963As_0.050Cu_0.003Ag_0.001)1.017S_2の組成を持ち、FeとAsが逆相関の関係にあった。HRTEM観察から、ナノスケールの非晶質As-Fe-Sインクリュージョンが見つかり、それらがAs-pyriteの(100)面に平行に析出していることが示された。このインクリュージョンは、およそ62at%S, 28at%Fe, and10at%Asの組成をもち、As-pyriteの第三のAs担持構成成分として存在することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)