2008 Fiscal Year Annual Research Report
透過電子顕微鏡による有機電界効果トランジスタの構造解析と特性向上
Project/Area Number |
20860041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳永 智春 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (90467332)
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Keywords | 有機薄膜 / トランジスタ / 透過電子顕微鏡 |
Research Abstract |
透過電子顕微鏡(TEM)を用いて有機材料を評価する上で最も注意すべき点は電子線照射による有機材料の劣化である。そこで、第一にペンタセンの電子線照射耐性について調査を行った。ペンタセン粉末に電子線照射を行い、回折図形を取得し回折斑点が消失するまでの時間を計測した。電子線照射条件は加速電圧を200kV、照射電流密度は市販されているフィルムで撮影が可能な最も低い値である2pA/cm^2とした。その結果、時間経過と共に回折図形がアモルファスを示す回折図形へと変化し、照射開始後20分まではペンタセン粉末の回折リングが残存することが判明した。また、粉末ではなくガラス基板上に成膜された膜厚50nmの薄膜を剥離し、同様の条件で照射耐性の調査を行った結果、5分と短く粉末よりも薄膜の方が電子線照射に弱いことが明らかになった。これらの結果から、ペンタセンを用いた薄膜をTEMで観察する際には採用した実験条件を用いる場合、5分以内に撮影を完了する必要があることが判明した。今後ペンタセンを用いた有機デバイスのTEM観察を行う場合には、厳守しなくてはならない撮影条件である。上記で得られた撮影条件を用いて、ガラス基板上に成膜されたペンタセン薄膜の高分解能像取得を試みた。試料の作成には収束イオンビーム(FIB)法を用いて薄片化し試料とした。TEMによる薄膜部の電子線回折図形の取得を試みたが、得られなかった。考えられる理由として、FIB法による加工時に薄膜の結晶性が失われた可能性がある。この結果から、FIB法による加工だけではなく、ミクロトームなどの物理的な薄片化技術を用いて同様の試料を作製し調査する必要があると考えられた。
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Research Products
(3 results)