2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリカル系プラズマにおける閉じ込め改善モード遷移に対するイオン粘性の役割の検証
Project/Area Number |
20860089
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
高橋 裕己 National Institute for Fusion Science, 大型ヘリカル研究部, 助教 (00462193)
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Keywords | 核融合 / プラズマ / 磁場閉じ込め / 閉じ込め改善モード / イオン粘性 / ポロイダルフロー / ヘリカル系 / 電極バイアス |
Research Abstract |
大型ヘリカル装置(LHD)で電極バイアス実験を行うに当たり、平成20年度のバイアス実験で最適化されたプラズマパラメータを基に、標準配位を含む幾つかの磁場配位に対しShaingのモデルを用いてイオン粘性のポロイダルフローに対する依存性を計算し、閉じ込め状態の遷移に要求される電極電流閾値を評価した。Shaingのモデルは、ヘリカル系装置に特有のヘリカルリップルの効果も含まれるため、本研究における粘性の評価モデルとして妥当である。この計算結果を基に、対象磁場配位として標準配位を選択し、バイアス電極としてカーボンディスクを用いて電極バイアス実験を行った。実験ではECRHによって生成されたプラズマをターゲットとした。放電中に電極に三角波の電極電圧を印加し、電極電圧のランプアップ/ランプダウンによる順遷移/逆遷移を試みた結果、負性抵抗を伴う閉じ込め状態の遷移を観測する事に成功した。遷移時において、エネルギー閉じ込め時間の改善、プラズマコア部での密度増加、周辺部での電子密度減少・電子密度揺動の低減が確認された。また、閉じ込め遷移が発生する電極電圧は順遷移・逆遷移時で異なり、電極電圧-電極電流曲線がヒステリシスを有する結果が得られた。 これらの特性は、電極バイアスによってプラズマの小半径方向に流れた電流が誘起するポロイダル回転駆動力が、イオン粘性の極大値を超えることによって(逆遷移の場合は駆動力が極小値を下回ることによって)、閉じ込め状態が遷移するというシナリオによって解釈され得ることを示唆しており、これまでに東北大学ヘリアック装置で得られている結果と整合する。
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