2008 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを用いた透明材料内部への強磁性微粒子析出に関する研究
Project/Area Number |
20860095
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中嶋 聖介 The Institute of Physical and Chemical Research, 緑川レーザー物理工学研究室, 基礎科学特別研究員 (40462709)
|
Keywords | フェムト秒レーザー / 強磁性体 / スピントロニクス / レーザー誘起現象 / ナノ微粒子析出 |
Research Abstract |
エレクトロニクス分野における超短パルスレーザープロセスの応用として、基板上または材料内部に様々な機能性物質を形成させる試みや、それらの機能性物質を微細且つ複雑に加工可能な技術の開発が注目されている。本研究では、対象物質を磁性体材料に絞り、ガラスなどの非磁性材料内部、或いは表面にフェムト秒レーザーを集光照射することで強磁性体の析出を誘起させることを試みた。この手法が確立すれば、近年研究が活発に行われているスピントロニクスの分野においてデバイス作製のための重要な技術となり得る。本年度は、磁性イオンである鉄(Fe)イオンを高濃度にドープしたリン酸塩ガラスを作製し、フェムト秒レーザーの集光照射とポストアニールによる強磁性物質析出の可能性を検討した。まず、20Fe_2O_3・80P_2O5の組成の混合粉末を1350℃で溶融し流し出すことで黒く着色したガラス試料を得た。これを1200℃にて再び還元溶融したところ、透光性の高いガラス試料が得られた。波長775nm、パルス幅150fsのパルスレーザーを内部に集光照射し、照射部位を機械的研磨により露出させ磁気力顕微鏡による分析を行った。ある条件のもとでレーザー照射を行った試料において、局所的な構造変化による硬質化が起こることが確認された。磁気力を反映する位相コントラストがわずかに見られたが、走査電子顕微鏡観察において元素の偏りはみられなかった。分析における空間分解能以下のナノ微粒子が析出している可能性があるが、現段階では確認できていない。今後、透過電子顕微鏡によるナノメートルオーダーの観察を行う予定である。また、これに平行して、一般的なソーダライムガラス(70SiO_2・10CaO・20Na_2O)に磁性イオンを段階的にドープしたガラス試料を作製し、レーザー誘起磁性体析出のホストガラスとして検討中である。
|
Research Products
(1 results)