2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規キネトコア結合因子Kapタンパク質群の機能解析
Project/Area Number |
20870004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 智康 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (80503490)
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Keywords | 染色体分配 / キネトコア / CENP-A |
Research Abstract |
CENP-Aは、全ての真核生物で保存されているヒストンH3バリアントで、セントロメア領域にのみ局在する。このCENP-Aを含むクロマチン上にキネトコアが形成されるため、CENP-Aを正確にセントロメア領域のみに局在化させる事は、正常な染色体分配に必要不可欠である。染色体分配の異常は染色体の異数化に繋がり、ダウン症などの重篤な疾患を引き起こす。また、これら以外にも癌の発症および悪性化と染色体異数化の関連性が数多く報告されている。 これまで酵母を用いた遺伝学的、哺乳類培養細胞を用いた生化学的な研究により、CENP-A局在化に必要な因子、CENP-Aと結合する因子の同定がなされてきた。しかしながら、因子の同定および個々の因子の機能解析が十分になされているとは言えない。本研究では、遺伝学的および生化学的なアプローチが容易な分裂酵母をモデルとし、CENP-A局在化に関わる新規因子の同定およびその機能解析を行い、キネトコア形成機構の解明を行う。 平成21年度において、1)kap1温度感受性変異株では、ミニ染色体の安定性が失われているにもかかわらず、制限温度下でもCENP-Aの局在に明確な影響は観察されない事、2)Kap1タンパク質のキネトコアへの結合は、許容および制限温度下で変化は観られない事、3)kap1温度感受性変異株は紫外線・ハイドロキシウレアなどの薬剤に感受性を示すが、組換えには特に影響を与えない事が示唆された。さらに4)新規キネトコア結合タンパク質Kap2は、クロマチン免疫沈降法によりキネトコアに結合する事、5)kap2欠損株は生育可能な事を見いだした。 これらの研究は、今後染色体分配機構の解明につながるものと期待される。
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