2009 Fiscal Year Annual Research Report
発生タイミングを制御するマイクロRNA経路の研究:アミロイド前駆体様分子の利用
Project/Area Number |
20870005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 隆介 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (60507945)
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Keywords | 発生・分化 / 発現制御 / 線虫 / 発生タイミング / マイクロRNA / 転写因子 / 核内受容体 |
Research Abstract |
1)アミロイド前駆体様分子apl-1を利用した発生タイミング関連遺伝子の同定と機能解析 平成20年度に引き続き、apl-1プロモーター領域とGFP領域との融合コンストラクトを導入したトランスジェニック線虫系統(apl-1::GFP系統)を利用して、apl-1の発現を指標としたRNAiスクリーニングを実施した。線虫は大規模なRNAiスクリーニング系が良く整備されたモデル生物であり、線虫の予想コーディング遺伝子の大半に対するRNAiクローンライブラリーが利用可能である。このスクリーニングの過程で申請者は、進化的に保存された核内受容体をコードするnhr-25遺伝子が、apl-1の発現に必須であることを見出した。さらに、nhr-25はapl-1の発現調節のみならず、上皮細胞分裂の停止、上皮細胞の融合、成虫特異的コラーゲン遺伝子の発現など、幼虫から成虫への分化の幅広い現象に関与していることが判明した。すなわち、nhr-25は、新規の発生タイミング遺伝子であることを見出した。nhr-25は進化的に高度に保存された遺伝子であることから、本成果は動物一般の発生タイミングにつながる成果である。 (2)apl-1遺伝子のエンハンサー解析 上述したRNAiスクリーニングとは別に申請者は、let-7経路に関わる分子メカニズムを直接的に探究する方法として、apl-1のダイナミックな発現を司るエンハンサー領域を同定した。その結果、昨年度までに狭めていた、201塩基対の領域内に核内受容体結合モチーフがあることを見出した。また、上述したnhr-25依存的なapl-1の発現制御には、この核内受容体結合モチーフが必要であった。このことから、nhr-25はapl-1の発現タイミングを直接に制御している可能性が示唆された。
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