2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20870040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中道 範人 The Institute of Physical and Chemical Research, 生産制御研究チーム, 基礎科学特別研究員 (90513440)
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Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / 生物時計 / 概日リズム / 低温ストレス / DNAアレイ / PRR / インフォマティクス |
Research Abstract |
シロイヌナズナの生物時計は、MYB様転写因子をコードするCIRCADIAN CLOCK ASSOCIATED 1(CCA1)遺伝子、LATE ELONGATED HYPOCOTYL(LHY)遺伝子とPSEUDO RESPONSE REGULATOR遺伝子群(PRR9、PRR7、PRR5、PRR1)らの相互の転写制御によって成り立つことが示唆されている。しかしながらPRRタンパクの生化学的な機能は分かっておらず、実際の時計の分子機構はまだ推測の域をでない。 本年度、私は、時計変異体セットの中でも最も厳しい時計形質(概日リズムの無周期)を示すprr9prr7prr5三重変異体(以下、d975と略す)のDNAアレイ解析を行い、1)d975では時計出力遺伝子のほぼ全てのリズム成分が無くなる事、2)d975では体内時間の位相が主観的昼で止まっている事を発見、報告した(発表論文1)。つまりPRR9、PRR7、PRR5は植物ゲノムの転写レベルの日内の時間変遷(朝から夕)に必須であると強く示唆された。また野生型に比べて、d975で発現異常を示す遺伝子をおよそ600個見つけた。この研究により、PRRタンパクは生理的に昼ごろに機能する事と、PRRタンパクのゲノムワイドなターゲット遺伝子の候補が見つかった。これらは、今後のPRRタンパク質機能の同定にたいして有用な情報である。 またPRRタンパクの主要な細胞内局在を核内と決定する事ができた(未発表)。さらにPRRタンパクのターゲット候補の遺伝子のプロモーター活性を、過剰なPRR遺伝子の発現により、抑制あるいは誘導できるかを確認する実験が完了している。これらの結果はPRRタンパクが転写調節因子の働きを持つ事を示唆している。
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Research Products
(5 results)