2009 Fiscal Year Annual Research Report
種子貯蔵物質の高蓄積に関わる転写活性化機構の解明-分子農業の基礎的研究
Project/Area Number |
20880013
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 将之 University of Toyama, 大学院・理工学研究部, 助教 (10456402)
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Keywords | 種子貯蔵物質 / 転写因子 / 発現制御 / イネ / ゴマ |
Research Abstract |
本研究ではタイプの異なる種子貯蔵物質であるタンパク質と脂質に関して、イネおよびゴマを用いて、種子特異的な高蓄積に関わる転写活性化機構について調査を行った。 1.前年度までの研究で、イネ種子貯蔵タンパク質遺伝子の転写活性化の際に、少なくとも2種の転写活性化因子(RISBZ1とRPBF)が相乗的に働くことが示された。本年度は、この転写因子間の相乗作用の分子的メカニズムに関する知見を得るために、RPBFの転写活性化ドメインの調査を試みた。その結果、C末端側に存在する疎水性アミノ酸に富む2つの領域の双方がRPBFの転写活性化に必要であることが明らかとなった。今後は未同定の転写活性化因子のクローニングを進め、上述の2種の因子との相互作用について解析していく予定である。 2.ゴマ種子の含油率は約50%と他の油糧作物と比べて高いが、ゴマの種子貯蔵油脂生合成系遺伝子に関する知見は極めて少ない。そこで本年度は、これまでにゴマより単離した4種の貯蔵油脂生合成系遺伝子のプロモータ領域に対する転写活性化因子の作用を、ゴマ緑葉を用いた一過的発現実験系を用いて調査した。解析には、貯蔵油脂生合成系遺伝子の発現に関与すると考えられる2種の転写活性化因子(SeWRI,AtFUS)および、ゴマにおいてオレイン酸不飽和化酵素FAD2遺伝子の転写活性化に関与すると報告されているSebHLHを用いた。その結果、いずれの転写活性化因子も油脂生合成系遺伝子の発現に関与することが示された。今後は、引き続きゴマより種子貯蔵油脂生合成系遺伝子のプロモータ領域の単離を行うとともに、油脂生合成系遺伝子に対する、登熟種子で発現する種々の転写因子の転写活性化作用の調査を行う。加えて、転写活性化因子間の相互作用についても検討していく予定である。
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