2009 Fiscal Year Annual Research Report
タバコの種間交雑で認められる雑種致死の遺伝学的研究
Project/Area Number |
20880024
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
手塚 孝弘 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (20508808)
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Keywords | 雑種致死 / 生殖的隔離機構 / 種間交雑 / 遺伝解析 / タバコ / 植物育種 |
Research Abstract |
タバコの栽培種(Nicotiana tabacum)と野生種(Suaveolentes節)を交雑すると、多くの組合せで雑種致死が認められる。雑種致死は生殖的隔離機構の一つであり、進化の過程で重要な役割を果たしてきたと考えられているが、その一方で遠緑交雑による品種改良を行う際の障害となる。1.これまでに、N. tabacumと交雑しても雑種致死を示さない野生種を2種見出しており、これらの種を利用して雑種致死の遺伝解析を試みた。(1)これらの2種と雑種致死を示さない複数の野生種とを種間交雑し、数組合せのF1雑種を得た。(2)これらのF1雑種の雑種性を確認したところ、確かに雑種であることを確認した。(3)F1雑種をタバコ栽培種と交雑し、得られた種子を使って雑種致死の分離を調べた。その結果、野生種が1つの雑種致死原因遺伝子を持つことを明らかにした。雑種致死原因遺伝子のマッピングをするためには、F1雑種を自殖または戻し交雑することで得た世代を使用する必要があるが、F1雑種は不稔であり、これを使用してマッピングをすることは困難であると考えられた。2.多数のタバコ野生種を使用して栽培種と交雑し、雑種致死を発現するかどうかを調べた。その結果、特定の種において雑種致死を発現する系統と発現しない系統が存在することを見出した。これらの系統は同一の種に属するため、F1雑種を作出すれば稔性がある可能性が高く、遺伝解析の材料として適していると考えられた。以上のように、本研究では、野生種が単一の雑種致死原因遺伝子を持つことを明らかにし、今後マッピングを進めることができる可能性を示すことができた。
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