2008 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経細胞の再生、および再生母細胞に関する組織学的研究
Project/Area Number |
20890073
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野村 智幸 Niigata University, 医歯学総合病院, 特任助教 (90515652)
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Keywords | 嗅神経細胞 / 再生母細胞 / 走査電顕 / 免疫組織化学 / 嗅球除去 / アルカリ消化法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、嗅球除去術後における嗅神経細胞の変性および分化成熟についての三次元的微細構造変化を走査電顕にて明らかにし、さらに、免疫組織化学の手法を応用して分裂細胞を同定することで、嗅神経細胞の再生母細胞について解明することである。平成2O年度は、主に走査電顕を用いた三次元的微細構造変化について解析を行った。≪正常マウスの解析≫走査電顕標本では、アルカリ消化法を用いる事により鼻腔面のみでなく、側面や基底面からの観察が可能となった。嗅上皮は、嗅細胞、支持細胞、基底細胞、そして嗅腺の導管で構成されるが、側面からの観察にて種々の細胞が容易に区別できた。特に、嗅細胞の表面形態が詳細に観察できたことから、アルカリ消化法が非常に有効な手法であることを改めて認識できた。更に、基底部では、樹状突起が細く曲がりくねった未熟な嗅細胞が観察されたが、多くの成熟嗅細胞に埋もれる状態となっているために、その全体像を観察できるものは極少数であった。≪嗅球除去マウスの解析≫術後2日目の光顕像では、上皮の中間層で成熟嗅細胞の核の変性が多く見られ、基底部の分裂細胞はあまり観察されなかった。走査電顕像では上部の嗅細胞の細胞体に変性のために生じたと思われる特徴的な大小の陥凹が観察され、それらの変性細胞には樹状突起および嗅小胞がまだ残存していた。術後5日目の光顕像および走査電顕像では、嗅細胞がほとんど消失し、上皮の丈は低くなっていた。個々の支持細胞は円柱状に変化していた。術後7日目の光顕像では、上皮の下部に多くの嗅細胞が観察できた。また、基底部(基底細胞の一層上の部分)に分裂細胞を比較的多く認めた。走査電顕像では上皮内に種種の未熟な嗅細胞が観察された。更に、分裂細胞と考えられる基底部に存在する巨大な細胞が見られた。
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