2009 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経細胞の再生、および再生母細胞に関する組織学的研究
Project/Area Number |
20890073
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野村 智幸 Niigata University, 医歯学総合病院, 助教 (90515652)
|
Keywords | 嗅神経細胞 / 再生母細胞 / 走査電顕 / 免疫組織化学 / 嗅球除去 / アルカリ消化法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、嗅球除去術後における嗅神経細胞の変性および分化成熟についての三次元的微細構造変化を走査電顕にて明らかにし、さらに、免疫組織化学の手法を応用して分裂細胞を同定することで、嗅神経細胞の再生母細胞について解明することである。≪正常マウスの解析≫走査電顕標本では、アルカリ消化法を用いる事により嗅上皮の鼻腔面のみでなく、側面や基底面からの観察が可能となった。嗅上皮の基底部では、樹状突起が細く曲がりくねった未熟な嗅細胞が観察されたが、多くの成熟嗅細胞に埋もれる状態となっているために、その全体像を観察できるものは極少数であった。≪嗅球除去マウスの解析≫術後2日目の光顕像では、上皮の中間層で成熟嗅細胞の核の変性が多く見られ、基底部の分裂細胞はあまり観察されなかった。走査電顕像では上部の嗅細胞の細胞体に変性のために生じたと思われる特徴的な大小の陥凹が観察され、それらの変性細胞には樹状突起および嗅小胞がまだ残存していた。術後5日目の光顕像および走査電顕像では、嗅細胞がほとんど消失し、上皮の丈は低くなっていた。個々の支持細胞は円柱状に変化していた。術後7日日の光顕像では、上皮の下部に多くの嗅細胞が観察できた。また、基底部(基底細胞の一層上の部分)に分裂細胞を多く認めた。走査電顕像では上皮内に種種の未熟な嗅細胞が観察された。更に、分裂細胞と考えられる基底部に存在する巨大な細胞が見られた。本研究で、アルカリ消化法後の走査電顕観察を行うことにより、嗅球除去術後における嗅神経細胞の変性および分化成熟についての三次元的微細構造変化を明らかにできた。また、光顕と走査電顕観察を組み合わせることにより、分裂細胞を同定し、その表面形態を詳細に観察できた。分裂細胞とその周囲の細胞を分析する事が、再生母細胞の特定へ繋がるものと考えられるため、本研究結果は意義がある。
|