2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20890083
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
WONG W・R Kanazawa University, フロンティアサイエンス機構, 准教授 (30464035)
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Keywords | rael / cohesin / spindle / NuMA / nucleoporins / SMC1 / aneuploidy / cancer |
Research Abstract |
多くの癌では染色体異数体といった染色体異常が見られるが、癌悪性化における異数体発生機序やその役割については未だよくわかっていない。細胞有糸分裂における正常な染色体分離のメカニズムを知ることは、癌悪性化を引き起こす染色体不安定を理解するのに必須である。核膜孔複合体は核膜上にあって細胞質と核の間の分子の交換を制御するものであり、最近この核膜孔複合体を介した巨大分子の核内外への輸送が有糸分裂に深く関わっていることが明らかになってきた。この複合体はヌクレオポリンと呼ばれるタンパク質の集合によって構成されている。その中の一つであるRaelは核と細胞質間の分子の輸送に重要であり、また有糸分裂に関与する微小管に結合することが示されている。 申請者はこのRaelが分裂期の微小管重合体に結合し、NuMAと相互作用して紡錘体極の形成に関与していることを明らかにしており、さらに最近cohesinのサブユニットであるSMC1とも相互作用して染色体の正常な分離に深く関与していることを見いだした(PNAS, 105:15441-5,2008)。申請者は現在も引き続きRaelについての検討を継続しており、他ヌクレオポリン(Nup88、Nup98など)との相互作用や、また新たに他ヌクレオポリンについての解析も進めている。申請者の研究室では、順調に研究が進むとともに次々と新しい展開が出てきており、実験道具消耗品、新しい設備備品など、多額の研究費が必要となっている。しかしながら、現在の経済状況ではこれらを買い揃えるには、申請者が新規に取得した科研費若手研究(B)を併せても、厳しいと言わざるを得ない。近年Raelの過剰発現が乳癌患者で確認されたり、ヌクレオポリン遺伝子(Nup98)の異常が関係する白血病は難治性であると報告されるなど、核膜孔複合体の欠陥と癌との関係が示唆されている。本研究はこれらの見解と併せ考えても、基礎生物学及び臨床医学の両面から重要な課題であると思われる。
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Research Products
(3 results)