2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析による大腸がんのバイオマーカー探索
Project/Area Number |
20890124
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥野 達哉 Kobe University, 医学部附属病院, 特定助教 (50464269)
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Keywords | 大腸がん / メタボローム / 質量分析計 / ペプチド / バイオマーカー |
Research Abstract |
悪性腫瘍は近年、日本人の死亡原因の第1位となっており、大腸がんや食道がん、胃がんなどの消化器がん領域は、死亡頻度が非常に高いがん種である。このことより、これらのがん疾患に対するバイオマーカーの探索が広く行われてきた。病態時における細胞においては、疾患関連タンパク質の分泌、およびプロテアーゼなどの分解により、さまざまに代謝・分解された新たなペプチド産物が生成されることが予想される。そこで本研究では、大腸がんに注目し、疾患特異的な低分子量のペプチドを同定することを目的とし、将来の臨床応用を目指す。 本年度は、ヒト大腸がん細胞株HT-29細胞を用いて研究を実施した。まず、ペプチドに関して、逆相カラムを用いた全自動nanoLCシステムと、MALDI法によるイオン化、さらには、TOF-MSによる質量分析とを組み合わせたnanoHPLC-MALDI-TOF-MS解析システムを、本所属機関において確立した。さらに、この解析システムを用いて、HT-29細胞が培養液中に分泌するペプチド、およびその由来タンパク質を同定した。現在、nanoHPLC-MALDI-TOF-MS解析システムにより、大腸がん患者から提供していただいたがん治療前後の血液中に存在する低分子量ペプチドの検出を試みており、大腸がんの治療前に特異的に存在する低分子量ペプチドを探索している。本研究において、大腸がん特異的に存在する低分子量ペプチドが同定されることにより、大腸がんに対する新規バイオマーカー候補を提言できると考える。
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