2009 Fiscal Year Annual Research Report
イメージングによる心筋虚血再灌流障害とナトリウム・カルシウム交換機構の役割の解明
Project/Area Number |
20890233
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
行方 衣由紀 Toho University, 薬学部, 講師 (30510309)
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Keywords | 心筋 / 虚血再灌流障害 / Na^+ / Ca^<2+>交換機構 / イメージング / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本年度は、単離モルモット心室筋細胞のミトコンドリア膜電位について高速走査型共焦点顕微鏡、落射蛍光顕微鏡を用いてミリ秒単位の速いオシレーションを観察するとともにCa^<2+>動態、電子伝達系との関連を検討した。 単離心室筋細胞に、ミトコンドリア膜電位プローブのTMREを導入し、虚血時のミトコンドリア膜電位を測定した。その結果、虚血時に膜電位のオシレーションが見られる細胞があり、このオシレーションは細胞質内Ca^<2+>濃度の上昇と共に不可逆的な脱分極状態で終了した。しかし膜電位オシレーションはCa^<2+>free栄養液中においては観測されなかった。次にミトコンドリア膜電位と細胞質内Ca^<2+>濃度を同時測定したところ、両輝度に逆相関性が見られた。すなわち先行する細胞質内Ca^<2+>濃度の上昇をきっかけに膜電位が脱分極していることが判明した。 また電子伝達系の活動の指標として、酸化還元状態を反映するNADHやFAD、FMN等の自家蛍光を測定した結果、この自家蛍光にもオシレーションが観測される細胞があった。そこでミトコンドリア膜電位と同時測定したところ、その両輝度におおまかな相関性が見られることがあり、膜電位は電子伝達系の瞬間的な活性の後に毎回脱分極することが読み取れた。 以上より、ミトコンドリアの膜電位オシレーションにはCa^<2+>の存在が不可欠であり、ミトコンドリアと細胞質間でCa^<2+>の移動があることが示唆された。虚血再灌流時において、ミトコンドリア膜電位オシレーションのきっかけとなる細胞質、およびミトコンドリア内のCa^<2+>濃度の上昇を防ぐことは、ミトコンドリアを介する心保護に重要だと考えられる。
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Research Products
(19 results)