Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 直 東京大学, 地震研究所, 教授 (90156670)
松島 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40222301)
鷺谷 威 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50362299)
笠原 稔 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40001846)
丸井 英明 新潟大学, 災害復興センター, 教授 (10219545)
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Research Abstract |
臨時余震観測網と既設観測網のデータから, 本震時には西傾斜の震源断層が主に活動したが, それと直交する東傾斜の余震活動の存在も明らかとなった. このような複雑な震源分布は, 2004年新潟県中越地震(M6.8)でもみられる. また, 地下の地震波速度構造を調査した結果, 震源域の直下の深さ30〜40kmには低速度域が広く存在しており, そこから浅部に向かって3本の柱状の低速度域が地表の活火山(鬼首と鳴子, 栗駒山, 焼石岳)にまで続いていることが明らかとなった. 内陸地震の震源域直下の顕著な低速度域は, 2003年宮城県北部地震(M6.4), 2004年新潟県中越地震(M6.8), 2007年能登半島地震(M6.9), 同年新潟県中越沖地震(M6.8)でも見つかっており, 内陸地震発生のしくみを研究する上で重要な役割を果たすであろう. 臨時GPS観測点および既設GPS観測点のデータから, 本震時すべりと余効すべりの分布が明らかとなった. 本震時すべりは震源から南東方向に伝播し, 岩手・宮城県境付近で最も大きなすべりを起こしていた. この結果は地震波の解析によるすべり量分布ともよく一致している. 本震後約2週間にわたって観測された顕著な余効すべりは, 震源断層の浅部延長で発生しており, 地震時すべりと余効すべりは相補的な分布であることがわかった. また, 出店断層の深部は本震時にはすべってはいなかったが, 本震時すべりにより余効すべりが誘発された。今回出現した地表地震断層から, 西側隆起の逆断層運動が推定された. 周辺の地質構造などを考慮すると, テクトニックインバージョンによって以前の正断層が, 今回は再活動したと考えられる. 強震動データの調査の結果, 0.1〜0.3秒の短周期成分が卓越した地震動であったため, 震度6弱以上の割には建物被害が少なかったと考えられる. 人的被害・災害救援に関する調査により, 今回の地震による被害は日本全国に広がる中山間地域における地盤災害に共通の課題を有していたことが判明した.
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