2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20900123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 康文 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (10181421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 慶和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90360049)
斗内 政吉 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40207593)
市田 秀樹 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 助教 (50379129)
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Keywords | 秩序制御 / 高次発光機能 / 発光ダイナミクス / 局所構造 / 希土類元素 |
Research Abstract |
現在の半導体レーザ技術は環境温度に対する発振波長の不安定性など、根本的な問題を数多く内包している。本研究では希土類元素特有の発光特性(たとえば、希土類元素発光はバンド間遷移発光に比べて極めて高い波長温度安定性(0.001nm/K)を示す)に着目し、「電流注入による希土類発光準位を介する誘導放出」を用いた波長超安定新規半導体レーザ実現の可能性を探ることに最終目標を設定する。本年度はこれまでの研究成果を踏まえて、研究対象を実デバイス構造試料へ移し、電流注入によるEr励起・緩和機構を明らかにするとともに、その知見に基づくデバイス構造の設計・試作により、電流注入下での高次発光機能の発現に研究の焦点を絞った。 1. レーザ発振エネルギーを、Er^<3+>イオンの基底状態(^4I_<15/2>)-第2励起状態(^4I_<11/2)間エネルギーに一致させたGalnAs量子井戸レーザダイオードをp型基板上に作製した。Er, O共添加GaAs(GaAs : Er, O)を光ガイド層としたレーザにおいて、無添加のものに比べてレーザ発振しきい値電流密度が高いものの、InGaAs量子準位を介したレーザ発振を初めて観測した。レーザ発振がEr発光特性へ及ぼす効果について調べたところ、GaAs : Er, Oを活性層としたレーザと異なり、Er発光強度は注入電流量とともに増大し、その増加割合はレーザ発振エネルギーとErイオン準位間エネルギーが一致する980nm近傍で増大することを明らかにした。 2. Er励起・緩和機構を考える一助とするために、フォトリフレクタンス(PR)法を用いてGaAs : Er, Oを調べた。Er添加濃度の増大とともに、GaAsバンド端でのPR信号が乱れること、GaAsバンド端から36meV低エネルギー側に特徴的なPR信号が出現することを明らかにした。また、その特徴的なPR信号の強度がEr濃度とともに増大することから、その信号がErトラップに起因することを明らかにした。
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