2008 Fiscal Year Annual Research Report
高次構造による電子状態と波面の制御を利用した高機能希土類発光体の開発
Project/Area Number |
20900142
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
栗田 厚 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (70170082)
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Keywords | 蛍光 / 希土類 / 固相反応 / 結晶構造 / 不純物 |
Research Abstract |
希土類イオンや遷移金属イオンを発光中心とする蛍光体を固相反応によって作製する際に、不純物を加えると発光強度が顕著に増加する現象について、発光特性とX線回折の測定によってその機構を調べた。その結果、母体にY_2O_3、希土類添加物の原料にEu_2O_3を用い、焼成によって試料を作製する際にZnOなどの不純物を加えると、母体と発光中心添加物との拡散反応が促進され、それによって発光強度が増加することが明らかになった。これは、より低温またはより短時間の焼成で高効率の蛍光体が得られることを意味し、工業的に有用である。一方、母体としてGd_2O_3を使用すると、ZnOを加えることによって結晶構造が立方晶から単斜晶に変化することを見出した。焼成温度の1200℃では、通常は立方晶のGd_2O_3が安定で、1500℃で焼成すると単斜晶となるが、少量のEu_2O_3とZnOを加えることにより、結晶構造が単斜晶に転移し、低温で結晶の形態が制御された。ZnOのみを立方晶のGd_2O_3に加えた場合は、単斜晶への変化は起きない。したがってこの場合も、ZnOはEu_2O_3の効果を助ける働きをしていると見ることができる。この効果は、他の不純物との比較の結果、ZnOにおいて特に顕著であった。こうして得られたGd_2O_3 : Eu^<3+>蛍光体の量子収率は、396nmでの励起の場合約60%と高く、発光ピークが長波長の623nm付近にあるため、611nmに発光ピークを持つY_2O_3 : Eu^<3+>よりも、色純度の高い蛍光体として利用できる。
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Research Products
(1 results)