2008 Fiscal Year Annual Research Report
バルプロ酸で誘導されるアディポネクチンの発現抑制に及ぼすタウリンの有効性
Project/Area Number |
20928027
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
富田 隆 University of Tsukuba, 学務部・学生生活課(保健管理センター), 薬剤師
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Keywords | アディポネクチン / 非定型抗精神病薬 / 抗てんかん薬 |
Research Abstract |
【目的】非定型抗精神病薬や抗てんかん薬を服用すると、肥満や糖尿病などの副作用を発症することが知られている。これらの副作用は、コンプライアンスの不良を招くなど、治療上の大きな問題になっている。特に、肥満は深刻な副作用であるにもかかわらず、その発症メカニズムは不明な点が多く、予防法も確立されていない。そこで、肥満病態との関連が示唆されているアディポネクチンに着目し、以下検討した。 【方法】マウス3T3-L1細胞を刺激して分化させた8日目の脂肪細胞を対象とした。まず、脂肪細胞に非定型抗精神病薬であるオランザピンとアリピプラゾール、抗てんかん薬であるバルプロ酸を作用(12時間、24時間)させ、アディポネクチンの発現に及ぼす効果を検討した。その効果は、ウエスタンブロット法あるいはReal Time-PCR法で評価した。次に、脂肪細胞にタウリンを作用させ、アディポネクチンの発現が促進するか否かを検討した。その効果は、ウエスタンブロット法で評価した。 【結果】オランザピンとアリピプラゾールは、アディポネクチンの発現に影響しないことを明らかにした。また、すでに報告されているように、バルプロ酸でアディポネクチンの発現が抑制されることを確認した。新たに、タウリンでアディポネクチンの分泌が一過性に促進されることを見出した。 【考察】非定型抗精神病薬や抗てんかん薬を服用すると、血清中のアディポネクチン濃度が低下する可能性がある。本研究の結果から、脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現抑制はこれらの薬物の短期作用ではなく、長期作用により引き起こされると考えている。現在、長期作用の影響を検討している。一方、タウリンでアディポネクチンの分泌が促進されたことから、非定型抗精神病薬や抗てんかん薬を服用している患者にタウリンを投与することで肥満などの副作用が予防できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)