2020 Fiscal Year Annual Research Report
Plasmonic arrays for upconversion enhancement toward efficient solar cells
Project/Area Number |
20F20371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 教授 (80188292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAO YUAN 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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Keywords | プラズモニクス / ナノ周期アレイ / アップコンバージョン蛍光 / アルミニウム / フッ化物 / 希土類 / 数値シミュレーション / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、アルミニウムを対象にナノシリンダー格子のプラズモニックモードを数値計算に基づいて予測し、実際にナノシリンダーアレイを作製して、NaErF4 @ NaYF4コア-シェル型ナノ粒子の単分散層と組合せることにより,ナノ粒子のアップコンバージョン蛍光を増幅することを試みた。ナノシリンダーアレイの作製にはナノインプリントと反応性ガスエッチングを利用した。ガラス基板上に電子線蒸着によりアルミニウム薄膜を製膜したのち、レジストを塗布し、予めナノ構造を設けたシリコンモールドによってレジストにナノ構造を転写した。その後、エッチングによりアルミニウムのナノ周期アレイを得た。フッ化物ナノ粒子は溶液プロセスにより合成した。 局在型表面プラズモン共鳴に起因する電場増強と光回折モードを最適化することにより、800倍を超えるアップコンバージョン発光増幅と超低励起閾値を実現した。これは、2次元アルミニウム格子を利用した、1550 nm励起でのアップコンバージョン蛍光の増幅の最初の例である。重要な知見として、一つのアップコンバージョン過程に寄与する光子の数をnとすると、発光増強の割合は入射する光電場の2n乗に比例することが明らかとなった。この1550 nm励起でのアップコンバージョン蛍光の増幅が太陽電池の高効率化に結び付くことを実証するために、今回作製したアルミニウムナノ周期アレイとアップコンバージョン蛍光体との複合材料を市販の多結晶シリコン太陽電池と組合せて光電流を測定したところ、1.26±0.124 mA / cm2の電流密度が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アルミニウムのナノ周期アレイの作製とプラズモニック特性の解析についてはこれまでの実績があるものの、研究を開始して半年で、数値シミュレーションに基づいて局在型表面プラズモン共鳴とナノ格子の光回折とのカップリングに起因するモードの波長ならびに入射角依存性を明らかにし、アップコンバージョン蛍光過程に適したアレイ構造を設計して、1550 nm励起でのアップコンバージョン蛍光の増幅割合として800倍を実現している点は特筆すべきである。これは本研究の目的である太陽電池などへの応用を考えると大きな成果であり、研究は当初の計画以上に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、Alのナノシリンダーが周期的に配列したナノ周期アレイを作製する。作製にはナノインプリント法と反応性イオンエッチングを利用し,個々のナノシリンダーの大きさ(高さと底面の直径),ナノシリンダー間の距離(周期),シリンダーの配列(正方格子、六方格子など)を制御して構造を形成する。走査型電子顕微鏡でアレイを観察し、目的通りの構造が得られていることを確認する。別途、ナノ周期アレイの構造を対象にFDTD法による数値シミュレーションを行い、透過率などの光物性を評価するとともに、局在型表面プラズモン共鳴とプラズモニック-フォトニック結合モードに基づく光電場の局在化とその分布の様子を明らかにする。また、屈折率、透過スペクトルなどを測定し、シミュレーションの結果と比較する。並行して、希土類イオンを添加したフッ化物を中心にソルボサーマル法でコア-シェル構造を持つナノ粒子を合成する。希土類の添加量、粒子の大きさ、シェルの厚さなどを系統的に変え、アップコンバージョン蛍光体としての最適化を図る。得られたナノ粒子をナノ周期アレイ上に分散し、現有の蛍光分光光度計などを利用して発光スペクトル、蛍光寿命、量子収率の測定を行い、プラズモニックアレイがアップコンバージョン蛍光に及ぼす影響を明らかにする。さらに、ペロブスカイト太陽電池と組合せることにより、他研究室との協力のもとで、発生する光起電力や光電流の測定を行う。加えて、今年度中に得られる成果をまとめて学会で発表するほか、論文として投稿する。
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Research Products
(2 results)