2021 Fiscal Year Annual Research Report
言語音の多様性の外延の理解拡大:3基軸データによるカラハリ言語帯の音韻類型論
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20H00011
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音韻類型論 / コイサン / カラハリ盆地言語帯 / Khoisan / phonological typology / areal typology |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の主要な実績は、2020年度に引き続き、(1) カラハリ盆地言語帯(KBA)の音素目録資料と語彙データベースの分析と総合に基づく子音の頻度分布調査の成果をさらに発展させ、それを発表したこと、(2) KBAの3つの語族のうち、コエ・クワディ語族(とくにカラハリ・コエ諸語)とカー語族の語彙データベースを整備拡充したこと、(3) カラハリ・コエ諸語のテキスト・コーパス編集をいっそう整備・精緻化したことが挙げられる。 (1)については、2021年9月に日本音声学会全国大会で「多数のクリック子音をもつ言語は音韻体系をどう組織化するか:“コイサン”諸語の子音・母音・音素配列」と題した招待基調講演を研究代表者が行った。また、プロジェクトメンバー全員による国際学術誌Linguistic Typologyへの投稿論文の査読が終わり、採択が決定したため、最後の改訂・校閲の作業を進めた。 (2)については、標本言語の主要な言語データにおける資料がさらにバランスよく整備された。また、KBA標本言語に共通する重要な子音音素の音声詳細と、言語個別的な変異が観察される第1音節母音の異音の音声詳細に関わる情報の入力を語彙データベースで開始した。これは、現在準備中のプロジェクトメンバー全員による学術論文のトピックに関連する。さらに、(2)および(3)においては音素表記に加えて、音韻的妥当性を満たす正書法の開発を進め、応用的研究にとって有用な表記法をデータベースに組み入れた言語を増やすことに成功した(とくにグイ語とガナ語)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染を危惧して、現地調査を控えたため、追加資料の収集、母語話者への面談調査によるテキスト資料の収集やアノテーション確認がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を再開し、また、国内に滞在中の母語話者の協力を得て、追加資料収集やその整備を進める。
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Research Products
(5 results)