2023 Fiscal Year Annual Research Report
言語音の多様性の外延の理解拡大:3基軸データによるカラハリ言語帯の音韻類型論
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20H00011
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音韻類型論 / 言語地域特徴 / コイサン / カラハリ盆地言語帯 / Kalahari Basin / Khoisan |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主要な実績は、(1) ふたつの重要な論文が本研究課題の成果として刊行されたこと、(2) 研究代表者単著による論文の刊行が決定し、査読も終わって最終版を作成中であること、(3) カラハリ・コエ諸語の語彙データベースの敷衍と整備にもとづいてグイ・ガナ語辞書(刊行前バージョン)が印刷製本されグイ・ガナ人コミュニティーに配布されたこと、(4)同諸語のテキスト・コーパスの拡大・編集、(5)研究代表者によるボツワナ・ハンシー県における現地調査とテキスト資料収録、(6)標本言語の個別的な調査トピックの開拓に要約できる。 (1)は、プロジェクトメンバーによる共同執筆による論文のLinguistic Typology上での刊行と研究代表者単著による論文がOnomatopoeia in the World’s Languagesのひとつの章としての刊行である。(2)はひつじ書房から刊行される『言語研究における英語のバイアス(仮題)』に収められるコイサン音韻論における論争を扱った論文である。(4)(5)は、ボツワナにおけるコロナ感染の危険が減少したことにより現地調査が本格的に再開され、カラハリ・コエ諸語の民話や昔話の新資料の追加収集が可能となったことによる。(6)のなかで特筆に値するのは、グイ語・ガナ語のすべての分節音について、その調音運動をrtMRIによって撮像し精査する調査を実施したことである。これにより、コイサン諸語に特有の高度に複雑な子音にかかわる音声類型論的な知見が格段に発展しただけでなく、本研究プロジェクトがもちいている複雑子音の音韻分析アプローチの音声学的な根拠を検証するためのデータも得ることができた。最終年度では、rtMRI撮像資料をさらに追加収集する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実施が難しかった現地調査によるデータ拡大収集が、ようやく本格的に再開できるようになり、遅れがちだったテキスト資料の収録も能率的に順調に進みはじめている。本研究課題に直接関わる重要な研究成果が国際的に評価の高い学術ジャーナルで公表された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続き、各標本言語の語彙データベースおよびテキスト・コーパスの拡大・整備・編集を進める。テキストについては、標本言語の危機性を踏まえて語彙・表現力豊かな年長の話者からの民話や昔話の資料をなるべく多く録音撮影資料として収集する。現在、手掛けているいくつかの論文の執筆を進め、国際学術誌へ年度内に投稿する。それと同時に、本研究プロジェクトを総括する成果物としてアンソロジーを編纂する。
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Research Products
(2 results)