2020 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing Networks of People and Knowledge: The Manuscript and Art Collections of Japan's Major Medieval Temples
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20H00012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近本 謙介 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90278870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00366999)
本井 牧子 京都府立大学, 文学部, 教授 (00410978)
三好 俊徳 佛教大学, 仏教学部, 准教授 (00566995)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (40551502)
瀬谷 貴之 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 主任学芸員 (50443411)
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (50555133)
大谷 由香 龍谷大学, 文学部, 准教授 (50727881)
阿部 泰郎 龍谷大学, 文学部, 教授 (60193009)
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
藤岡 穣 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70314341)
箕浦 尚美 同朋大学, 文学部, 准教授 (70449362)
野呂 靖 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70619220)
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80346155)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 真福寺 / 金剛寺 / 称名寺 / 寺院聖教 / 宗教美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中世拠点寺院の蔵書と美術を調査・分析することで、経蔵・聖教形成の過程と実態を解明し、あわせてそれを成した人と知のネットワークの動態に迫ることにある。この目的を達成するため、真福寺・金剛寺・称名寺を中心とする拠点寺院の調査と分析を主要な研究事業としている。 本年度もコロナ感染症に伴う研究活動の制約があったため、国内寺院調査に多大な支障を生じた。そのようななか、真福寺については小規模な調査を定期的に継続し、金剛寺については研究分担者の一部による調査を数日実施した。称名寺については研究分担者が進めてきた調査に基づく展示企画を実現させた。海外調査については、現地における共同調査と成果報告のためのワークショップをすべて延期した。 上記の限定的な調査において、真福寺については、四箱分の書誌調書の作成およびデータベース化を進め、唱導関係の新資料と書物の書写ネットワークの一端を見出した。金剛寺においては、子院摩尼院の聖教調査を進め、金剛寺の法会・儀礼と深く結びつく講式や後世の転写本を見出し、研究分担者が立川流『阿字観』に関する新たな伝本を発見した。 調査が思うにまかせない状況に鑑み、上記の成果を含めて、優先的に成果報告を公刊することに専念した。その結果、①『玄奘三蔵 新たなる玄奘像をもとめて』(勉誠出版、2021年12月)、②『ことば・ほとけ・図像の交響 法会・儀礼とアーカイヴ』(勉誠出版、2022年3月)、③『宗教遺産テクスト学の創成』(勉誠出版、2022年3月)の三編著を刊行した。①は興福寺における玄奘の位置づけを『玄奘三蔵絵』に基づきつつ定位するもの、②は法会・儀礼をことば・ほとけ・図像の交響する場としてとらえ直し、真福寺や金剛寺等のアーカイヴ研究と連動させる意図に基づくもの、③は真福寺に伝わる歴史書や聖教目録を宗教遺産テクスト学として統合することを企図したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、コロナ感染症に伴う蔓延防止等重点措置期間が続き、研究活動に大きな制限が生じたため。研究活動の優先順を再検討し、海外調査に基づく共同研究を次年度以降に延期するとともに、国内調査は規模を縮小して推進した。その結果、当初の計画よりもやや進捗状況が遅れることとなった その一方で、研究計画の見直しを行い、準備段階から進めてきた研究と、本年度に得られた成果を迅速に公刊すべく、「研究実績の概要」欄に記した三冊の編著を刊行した。このことは、当初の計画よりも前倒しで実現できた研究成果であり、当初の計画以上に進展した点と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施予定であったアメリカ・イタリア・ドイツの大学および研究機関との現地における共同調査とワークショップについては、次年度以降に集中的に研究事業を進展させるべく、新たなタイムスケジュールに基づく計画を立てている。特に、ハーバード美術館における南無仏太子像をめぐる共同研究については、可及的速やかに作業を進めるべく調整を進めている。 国内寺院調査については、蔓延防止等重点措置が解除される傾向にあるため、本年度より集中的に規模を拡大して実施できる見通しが立ちつつある。 また、拠点寺院研究を諸地域の寺院とのネットワーク研究へと展開させる計画についても立案が進み、成果報告の準備が整いつつある。
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