2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H00164
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 政博 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (30185871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 圭史 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 教授 (40303664)
坂本 文人 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60504818)
平 義隆 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 准教授 (60635803)
藤 貴夫 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20313207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射光 / ガンマ線 / レーザー / 干渉 / 加速器 / 電子ビーム / アンジュレータ / 電磁放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子情報技術の基礎である物質系の量子状態制御には精密に位相制御されたレーザー光が必須と考えられている。これに対し研究代表者らは最近、シンクロトロン中に直列配置された2台のアンジュレータを用いて高エネルギー自由電子からの極端紫外放射光の中にアト秒精度で位相が固定されたダブルパルス状の波束を作り出し、電子群からの時間的に無秩序な自然放射を用いても個々の波束の位相構造を反映して原子の量子状態が制御できることを世界に先駆けて実証した。本研究ではこの全く新しい発想をアンジュレータからレーザー逆トムソン散乱に展開し、極端紫外線からX線・ガンマ線に至る幅広い波長領域において位相制御された放射光波束の発生法を開拓している。 今年度は、電磁放射の位相構造に関する基礎研究を進めるとともに、応用面での昨年度の顕著な成果に基づき、さらに幅広い応用へ向けて研究を展開した。放射光波形の時間構造に関して、超短パルスレーザーの分野で開発された手法を放射光に適用しする実験に成功し、論文発表の準備を進めている。電磁放射の位相構造形成理解の鍵となる単一電子からの電磁放射に関する実験研究を進めるために、電子シンクロトロンに単一の電子を蓄積する技術を確立し、当該分野の基礎研究を世界に先駆けて進めていく研究環境を整えた。ガンマ線領域での放射波束の時間構造制御に向けて入射レーザーパルス成形装置を製作し予備的な実験によりガンマ線の発生の確認に成功した。放射光波束の時間特性の断層撮像への応用可能性について紫外線領域での原理の検証実験に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光源技術開発は当初の予定通りに進展しており、応用研究でも着実に成果を創出できている。研究成果は学会等での発表に加え、学術論文へ投稿中または投稿準備を進めているものが複数あり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
光源開発をさらに加速し、今年度は紫外線領域及びガンマ線の領域での基礎研究において成果創出に努める。特に単一電子からの電磁放射に関する実験研究で世界に先駆けて新しい分野を切り拓くことを目指す。応用研究では、順調に成果が創出されている原子分子のコヒーレント制御に関する研究を加速する。放射光の干渉性を利用した独自の実験手法をイメージングなど幅広い分野で開拓し、先導的な成果の創出に努める。
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Research Products
(5 results)