2022 Fiscal Year Annual Research Report
新しい時代の太陽系物質科学:マルチスケールで見た含水小惑星の形成進化過程
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20H00188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 智樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (20260721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
上椙 真之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (20426521)
玄田 英典 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (90456260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | C型小惑星 / はやぶさ2 / Ryugu |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年6月から小惑星探査機はやぶわ2が回収したCbタイプ小惑星リュウグウの1~8㎜サイズの岩石粒子18個に対する物質分析を,昨年度に引き続き,行った.放射光施設におけるXRD,XANES測定による化学組成と各種元素の化学状態の推定,走査型,透過型電子顕微鏡 を用いたサンプル内部の詳細観察による鉱物組織と化学組成分析などを行った.リュウグウサンプルの初期分析の結果の一部を取りまとめ,サイエンス誌に投稿し,2022年9月に論文が発表された.また,一部のサンプルに見つかった高温生成物(コンドリュールとCa,Alに富む包有物:CAIs)に関しては,二次イオン質量分析計に夜酸素同位体比測定を行った.損結果,一部のコンドリュールとCAIsは16Oに富む鉱物(カンラン石,輝石,スピネルなど)から形成されていることが分かった.このことは,太陽近傍で形成されたこれらの高温生成物が,リュウグウ母天体が形成された水の雪線以遠に輸送されたことを意味する.また,サンプルの表面観察から,一部のサンプル表面にリュウグウに飛来した惑星間塵の高速衝突の証拠を見出した.衝突痕の内部を分析することにより,飛来した惑星間塵は太陽組成を持つ原始的な塵であることが分かった.2023年2月からはリュウグウサンプルの公募分析が認められ,新しいサンプルの分析を始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リュウグウサンプルの分析は順調に推移し,多くの物質科学的発見があった.これらの成果を国際誌(Science誌,Nature Commnunications誌)に出版した.また,他の主要な成果をまとめた論文を投稿中であり.全体的に見て研究計画は予定通り進展しているから.
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Strategy for Future Research Activity |
公募分析でもともと初期分析である程度分析したサンプル.および新規のサンプルが配分された.これらのサンプルに対し,酸素,炭素,窒素などの同位体比分析を行い,小惑星リュウグウの形成進化のモデルを構築していく予定である.サイエンス誌に出版された論文に提案したリュウグウの形成モデルに,同位体の証拠からより具体的な形成条件を組み込んでいく予定である.
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Research Products
(9 results)