2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H00202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奈良岡 浩 九州大学, 理学研究院, 教授 (20198386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10284522)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小惑星リュウグウ / 地球外有機化合物 / 超高分解能質量分析 / アミノ酸分析 / はやぶさ2 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、探査機はやぶさ2によって採取された小惑星リュウグウ試料について、有機化合物の分析を行った。研究代表者の研究室に設置されている有機物分析専用のクリーンルームにおいて、2回のタッチダウンで得られたそれぞれの粉末試料を種々の溶媒で抽出した。抽出はヘキサン、ジクロロメタン、メタノール、水を用いて連続的に行った。それぞれの抽出液を用いてナノ液体クロマトグラフィー/超高分解能質量分析を行い、含まれる有機化合物を解析した。研究分担者は熱水抽出物を用いて3次元液体クロマトグラフィー/高感度蛍光分析により、アミノ酸の存在量と個々のアミノ酸の光学異性体(DL体)分析を行った。抽出液の一部はアメリカNASAゴダード研究所とドイツ・ミュンヘン工科大学との国際共同研究によって、種々の分析手法を用いてより詳細な有機化合物の解析を行った。また、直径約1mmの粒子試料を柔らかい金属に固定し、荷電メタノールを用いて脱離エレクトロスプレーイオン化/高分解能質量分析によるその場分析を行い、有機化合物のマイクロメートルスケールでの空間分布を明らかにした。これらの分析を炭素質隕石および加熱蛇紋石についても行い、対照およびブランク試料として比較・評価した。得られた研究成果をはやぶさシンポジウムとアメリカ月惑星科学会議で口頭発表した。また、国際学術誌Scienceに論文を投稿した。さらに数編の投稿論文を準備中である。これらの成果により、2023年に地球帰還するアメリカNASAのOSIRIS-REx探査機が採取した小惑星ベンヌ試料の分析チームメンバーにも選ばれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小惑星リュウグウの配布試料について、予想したより多く有機化合物を同定することができ、多くの論文を投稿でき、公表予定であるため。また、国際共同研究も順調に進めることができ、2023年に地球帰還するNASA OSIRIS-Rex探査機が採取した小惑星ベンヌの有機物分析チームにも選抜され、新たな研究展開も期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
はやぶさ2探査機が採取した小惑星リュウグウの試料に含まれる有機化合物の研究を通して、太陽系の炭素質な表面を持つ小惑星における有機化合物の分布・進化を明らかにする。地球外物質中の有機化合物を今まで行われたことがない高感度・高分離・高質量分解能・空間分布で総合的に分析して、炭素質小天体と様々な種類の炭素質隕石との対応関係を解明する。太陽系有機化合物の化学進化・反応過程を考察する。当初の計画と大きな変更はない。
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Research Products
(12 results)