2022 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の運転免許継続・返納に関する脳医科学的根拠の提案
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20H00267
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
朴 啓彰 高知工科大学, 地域連携機構, 客員教授 (60333514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 真一 高知工科大学, 情報学群, 教授 (30334519)
沖田 学 高知工科大学, 地域連携機構, 客員研究員 (80816934)
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 教授 (90447855)
山下 典生 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 准教授 (90628455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MRI / 高齢ドライバー / 交通事故 / 白質病変 / 脳萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の加齢現象として、白質病変と脳萎縮がある。この脳加齢因子が、安全運転行動評価を関係することを既に報告した。一方、安全運転を遂行するためには、動体認知機能が大きく関係している。因って、脳葉毎に定量化された白質病変容積値と脳萎縮度が、動体認知機能検査成績を介して、実車運転行動評価にどのように影響するかを調べた。 認知症のないドライバー101名(男性49名、女性52名、平均年齢77.88±3.77歳)を対象に、自動車教習所内の走行コースを実車運転し、同乗した公認運転指導員が運転技能を評価した。運転技能評価では、走行コース上の右左折、一旦停止などの7か所において、安全確認行動、速度コントロール、指示器の適切使用時間、車両安定性(ノックせずに加速および ポジショニング、ステアリングの6項目ごとに3点満点で採点し、総合点を比較した。頭頂葉の白質病変量は大きいほど、動体認知機能を介さずに、運転技能スコアが低下していた。脳萎縮と後頭葉の白質病変量は、動体認知機能低下を介して、年齢に関係なく運転技能スコアの低下と有意な相関を認めた。MRI によって定量評価される白質病変量と脳萎縮度から、運転技能が低下しやすい高齢のドライバーを特定できる可能性が示唆された。白質病変や脳萎縮は生活習慣の改善や生活習慣病治療によって抑制することが可能であるためにMRIによる脳健康管理が、日本の高齢者が引き起こす交通事故のリスク管理に特に役立つ可能性も示された。脳萎縮は全体脳から評価しているが、各脳部位毎の体積値を運転技能スコアを同様に調べると、運転技能カテゴリに応じた複数の脳部位が同定された。これらの知見より、MRIによる脳特徴量が運転技能に大きく関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実車実験を予定通りに進めることができた。白質病変は視覚的な定性評価から定量評価へプログラム開発でき、今年度の実験結果に実装できた。 脳ドックの大規模データから、過去の交通事故歴や白質病変容積値および脳部位体積値を順次計測中である。
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Strategy for Future Research Activity |
実車運転での高齢ドライバーの運転技能に関連する脳特徴量(白質病変や脳萎縮)を求めることができた。これらが、脳ドックでの交通脳データベース(交通事故などの交通関連データと脳MRIデータを照合したもの)においても整合性があるのか調査する。
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Research Products
(3 results)