2021 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of risk management system to support renewable energy P2P transactions
Project/Area Number |
20H00285
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 雄二 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50344859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
後藤 順哉 中央大学, 理工学部, 教授 (40334031)
高嶋 隆太 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (50401138)
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
山口 順之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 准教授 (50371224)
田中 謙司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40431788)
松本 拓史 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (60883163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ファイナンス / エネルギー / 電力市場 / シミュレーション / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究テーマに関して,P2P電力市場取引に関するシミュレーション,デリバティブの設計およびヘッジ効果の検証等を行った.主な研究成果を以下に示す. ①再生可能エネルギー電力を競争的電力市場で取引する場合の,取引量と価格の積が与える収益変動リスクを低減化するためのデリバティブ・フォワード戦略最適化問題を定式化し,ノンパラメトリック手法を適用した解法を提案した.さらに,保険会社がデリバティブ取引を仲介する際,複数事業者と同時に取引を行うことにより,保険会社自体のリスク低減化が行われることを示した. ②P2P電力市場におけるマーケットメイカー(MM)制度の導入効果について検討した.具体的には,P2P電力取引市場における一般エージェントの他にMMエージェントを導入し,MMエージェントによる価格変動抑制効果,および流動性促進効果を測定した.さらに,フレキシブルなMMエージェントを導入し,MMにとっての収益を確保しつつ市場流動性・価格安定性が向上することを示した. ③太陽光発電量の予測モデルを構築し,一般化加法モデル(GAM)が予測精度や計算速度の点で4つの機械学習手法より優れていることを実証した.特に,解釈可能性,複雑なトレンド構造を定式化できる柔軟性,トレンド補完における頑健性など,GAMの優位性について,実用性の観点から詳細に論じた. ④P2P電力取引市場において,需要・発電予測,経済性や再生可能エネルギー志向等のユーザー選好,およびEVの充放電を活用した最適入札エージェントの手法を提案した.分析の結果,EV所有者で経済性や再生可能エネルギー志向のユーザーが市場で有利に取引できる可能性や,高い再生可能エネルギー比率を実現する可能性が示唆された.これらの成果により,再生可能エネルギーの価値向上や普及を促進することが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎から応用にかけて分析は進み,実データを用いたシミュレーションやデリバティブ構築については研究成果がすでにまとまりつつある.従って,研究目的については,②おおむね順調に進展している,といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,再生可能エネルギー発電における収益変動リスクをヘッジするためのデリバティブ構築を一つの柱としている.これについては,これまで太陽光発電の場合に対し基礎となる理論から応用,実データを用いた分析を行っており,一定の研究成果がすでに得られている状況である.さらに,調整用火力発電に対するヘッジも検討しており,異なる電源をもつ発電事業主の取引を仲介する保険会社のリスク低減効果も検証されている.今後の課題として,風力発電についてのヘッジモデルの提案が挙げられるが,風力発電に関するデリバティブを分析するためのデータは整いつつある.今後は,風力発電の収益変動に有効なデリバティブ戦略について分析を進めるとともに,結果の普及のため,国内外での発表を積極的に行い,研究内容をさらに発展させていく予定である.
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