2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H00384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陰山 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40302640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 貴士 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (20432437)
佐藤 啓文 京都大学, 工学研究科, 教授 (70290905)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 単結晶 / 酸窒化物 / 高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸窒化物は、無毒顔料、可視光触媒、蛍光体、誘電体、巨大磁気抵抗などの優れた化学・物理機能を発現することから、酸化物あるいは窒化物を超える機能性材料として無機固体分野に於いてここ20年で最も精力的に研究され、新物質も数多く合成された。しかしながら、これらの酸窒化物の構造や機能の本質的な理解の大きな障害になっているのが、バルク単結晶が得られてないという事実である。研究代表者は、これまでの複合アニオン化合物で実験結果をもとに、バルクの酸窒化物単結晶が得られない原因をアニオン種で異なる揮発性にあると考えた。本研究では、アニオンの揮発を抑えるために高圧下でのフラックス法を用いることで、一元系、二元系の酸窒化物を中心にバルク単結晶を育成するのが目的である(TaON単結晶を育成した予備データあり)。理論計算との連携によって結晶育成のメカニズムを解明し、酸窒化物の単結晶育成に関する一般的な育成指針を解明する。更に、得られたバルク単結晶を用いた各種測定により、シス配位に由来する“Correlated Disorder”構造の直接観測、キャリア・フォノンダイナミクスの解明、触媒活性サイトの観測などを通じ、酸窒化物の機能物性に関する基盤を構築する。研究代表者の陰山は、これまで進めてきた複合アニオン化合物の研究結果をもとに、バルクの酸窒化物単結晶に望む。理論(佐藤)との連携によって結晶育成のメカニズムを解明することを試みた。また、得られた単結晶を用いた各種測定により、キャリア・フォノンの動的性質の解明、触媒活性サイトの観測(立川)などを通じ、酸窒化物の機能物性に関する基盤学理を構築することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
酸窒化物は、無毒顔料、可視光触媒、蛍光体、誘電体、巨大磁気抵抗などの優れた化学・物理機能を発現することから、酸化物や窒化物を超える機能性材料として複合アニオン化合物では最も精力的に研究され、新物質も数多く合成されている。しかしながら、酸窒化物の構造の詳細や機能が本質的に理解されているとは言い難い。その大きな障害は、バルク単結晶が得られてないからである。研究代表者は、複合アニオン化合物の研究結果をもとに、バルクの酸窒化物単結晶が得られない根源的な問題はアニオン種で異なる揮発性にあると考え、本研究では、アニオンの揮発を抑えるために特殊条件下でのフラックス法を採用し、様々な酸窒化物のバルク単結晶を試みることを目指した。理論計算との連携によって結晶育成のメカニズムを解明し、酸窒化物の単結晶育成に関する一般的な育成指針を得て、さらに得られたバルク単結晶を用いた各種測定により、“Correlated Disorder”状態の直接観測、キャリア・フォノンの動的性質の解明、触媒活性サイトの観測などを通じ、酸窒化物の機能物性に関する基盤学理を構築することを試みた。1年度では適切な条件のもとでTaONの約150 μmの単結晶が得た。また、様々なフラックス、温度、圧力条件による結晶の成長条件を検討した結果、条件によって差様々な結晶面が選択的に得られることを発見した。また、結晶成長時点では酸素が欠損している、つまり還元されていることを発見した。低温で酸素処理することによって完全に酸化することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
TaONの育成条件をさらに最適化を試みるとともに反応過程をin-situ実験により解明する。大型セルを用いて育成するために現状の合成装置を改良する。分担研究者の立川は、超解像イメージングなど最先端の顕微分光法を継続し、光触媒機能をもつTaONやSrTaO2などの酸窒化物単結晶に適用する。光触媒反応をその場観測にも改良の余地があるので、電荷キャリアの時空間分布や結晶面選択的な酸化還元反応挙動を明らかにし、得られた知見を指針とし、より高効率な光触媒系を構築する。具体的には、電子-正孔の輻射再結合から生じる発光を単一分子蛍光顕微鏡により分光観測するとともに、発光強度の空間分布から輻射失活が頻発する部位を特定する(予備実験でTaON単結晶からの発光を観測済み)。一般の酸窒化物の結晶成長を学問として確立するために反応のメカニズムの計算を継続する(佐藤)。融液中における構成元素のイオン状態(単イオン、イオンクラスター)や溶媒和状態、結晶面、フラックスの種類の関係を高圧と温度の関数として理解する。2年目は、TaON以外の単結晶育成も試みる。論文を執筆し、投稿する。
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Research Products
(11 results)