2020 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスゲートウェイ反射により「病は気から」の分子機構を解き明かす
Project/Area Number |
20H00502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勇希 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (50794020)
山崎 理絵 (長谷部理絵) 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (70431335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心理ストレス / ストレスゲートウェイ反射 / 自己反応性T細胞 / 脳微小炎症 / IL-6アンプ / 神経-免疫連関 / 臓器不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスゲートウェイ(SG)反射では、それ自体では病気を起こさない軽度のストレスが特定の神経回路を活性化し、脳特定血管の変容から当該血管周囲へ自己反応性T細胞の浸潤を誘導する。その後、さらにその部位の血管周囲に分布する神経回路がATP依存性に活性化し、消化管障害、心機能不全などから突然死が起こる。本研究では、SG反射において心理ストレスがどのように血中の自己反応性T細胞と強調して臓器の機能不全を誘導するか5つの検討から「病は気から」の分子機構を明らかにする。①自己反応性T細胞の抗原特異性と病態との関係、②自己反応性T細胞の脳特定血管部への浸潤のための分子機構、③自己反応性T細胞組織浸潤を誘導する神経回路と微小炎症から誘導される神経回路、④突然死に関連する神経回路と病態誘導機構、⑤ヒト検体を用いたSG反射である。 R2年度は主に②③④を行った。②において脳微小炎症部位を組織透明化免疫染色にて網羅的に解析した。重度の症状を示すマウスでは、第3脳室の脈絡叢、海馬采、視床実質の微小血管周囲にMHCクラスII陽性細胞が検出された。今後は時系列にて解析し最初に微小炎症が起こる部位を特定する。当該脳特定血管内皮細胞でストレス依存性に発現増強する膜分子・可溶性分子6分子の抗体を当該血管部に投与すると突然死が抑制できた(国内国際特許申請済み)。さらに、3分子に対する抗体を培養血管内皮細胞に添加するとIL-6アンプ活性化を抑制した。③と④において、脳と心臓での交感神経マーカー (TH) の組織透明化免疫染色を確立した。重度の症状を示す当該モデルの延髄では、心房と洞房結節に分布する右側迷走神経核で活性化神経マーカーとTH発現が増強した。また、心臓ではTH陽性神経線維に沿って心筋細胞が腫大・変性した。同細胞では機械受容体発現が増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R2年度は上記の結果の他、一細胞(核)RNAseq法の確立、オプトジェネティクスの導入、小動物エコーの導入と心機能評価法の確立、テレメトリーシステム導入と心電図測定法の確立、アデノ随伴ウイルス作出方法の確立、各種神経マーカープロモーター下にCreリコンビナーゼを発現する遺伝子改変マウスの導入、透明化免疫染色関節法の確立、ペプチドライブラリーから活性化T細胞の特異抗原を決定するスクリーニング法の確立など、本研究の遂行に必須のシステム導入と方法の確立を行った。また、迷走神経刺激法を東京大学 大学院薬学研究科 佐々木 拓哉博士より指導を受け、修得した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って研究が進展していることから、今後も研究計画に基づいて研究を推進し、SG反射の未解明な4ステップ ①自己反応性T細胞の抗原特異性とSG反射病態との関係、②自己反応性T細胞の脳特定血管部への浸潤のための分子機構、③自己反応性T細胞組織浸潤を誘導する神経回路・微小炎症から誘導される神経回路、④突然死に関連する神経回路と病態誘導機構を解析する。これまでは主に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスにストレスを負荷モデルで解析を行ってきたが、今後は胸腺除去マウスにもストレスを負荷し、病態や活性化される神経回路、血管ゲートの位置を EAE マウスと比較する。また、胸腺除去マウスにおいてT細胞が認識する自己抗原を決定し、病態や活性化される神経回路、血管ゲートの位置との関連も解析する。さらに⑤ ヒト検体を用いた G 反射の解析を行う。突然死、心不全、様々な病気で容体の急変により急死した症例で脳を解析し、脳の特異的な部位での微小炎症の有無、マウスモデルで同定した神経やT細胞、血管内皮細胞特異的機能マーカーを検出することにより、ヒトでSG反射が存在するかを検証する。最終的にはバイオエレクトロニック医療による特異的な神経回路の制御からストレス性臓器不全の予防・治療へとつながる革新的な方法論を確立、実現化を目指す。
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Research Products
(48 results)
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[Presentation] The effect of antiphospholipid antibody on cognitive function and microglial activation in mice2020
Author(s)
Abe N, Oku K, Kudo Y, Karino K, Kono M, Fujieda Y, Amengual O, Kato M, Kamimura D, Yasuda S, Murakami M, Atsumi T.
Organizer
第64回日本リウマチ学会総会・学術集会
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[Presentation] 中枢神経炎症における加齢の影響2020
Author(s)
山本励志, 北條慎太郎, 田中勇希, 長谷部理絵, 山崎剛士, 田中くみ子, 内田萌菜, 阿部靖矢, 下山修平, 樋口まどか, 古川龍太郎, 木田博郎, Fayrouz Shawky, 佐藤友哉, 松山誌菜, 村上薫, 村上正晃, 岩崎倫政
Organizer
第6回北大・部局横断シンポジウム
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[Presentation] Pathogenic Effect of Chronic Stress-induced interleukin-12/23p40 on Neuropsychiatric System in Lupus-prone Mouse2020
Author(s)
Abe N, Oku K, Fujieda Y, Takahashi N, Karino K, Kono M, Kato M, Tanaka Y, Hasebe R, Amengual O, Yamasaki M, Watanabe M, Murakami M, Atsumi T.
Organizer
The American College of Rheumatology Convergence 2020
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