2020 Fiscal Year Annual Research Report
Spiral progression of DNA damage repair, epigenetic alterations and metabolic changes in metabolic kidney diseases
Project/Area Number |
20H00535
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40252457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇野 修 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (50265823)
徳山 博文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50276250)
神田 武志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80317114)
長谷川 一宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30424162)
林 香 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60445294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニコチン酸代謝 / DNA損傷 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
代謝変容の、腎臓DNA損傷修復環境・エピゲノム変調への関わりについての検討に関しては、まずMKDにおけるNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)代謝破綻とDNA損傷・エピゲノム変調について検討を進めた。CKD患者の血液、尿におけるNAD代謝産物の変容をLC/MSにて測定する系を確立しており、これを用いてCKDにおけるNAD代謝系と腎機能との関連性について検証し、CKDにおけるニコチン酸代謝変容を見出した。また、申請者はNAD代謝の分解系の酵素でありメチル基転移酵素であるNNMT(nicotinamide n-methyltransferase)発現がCKD患者において上昇していることを明らかにしており、保有するNNMTノックアウトマウスを用いてNNMT発現低下が及ぼす腎内遺伝子発現およびエピゲノム修飾の変化を明らかにした(論文投稿中)。また最近、DKDモデルマウスへのNMN投与により尿アルブミンの改善が認められることを報告した(Yasuda, Hasegawa, et al. JASN 2021)。 一方、腎臓構成細胞におけるDNA損傷修復による代謝変容への影響に関しては、DNA修復因子KAT5が近位尿細管細胞の保護に重要であるだけでなく、糸球体濾過量調節にも関与している可能性が示唆され、DNA損傷修復因子の多様性が示唆された(論文投稿中)。腎臓細胞(ポドサイト、近位尿細管細胞)特異的にDNA損傷を惹起する遺伝子改変マウスを用いた検討では、細胞ごとに異なる表現型が惹起され、RNA-seqの結果、異なる経路の活性化、DNAメチル化変化を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の遺伝子改変マウスを作成しているがいずれも順調に交配が進んでおり、当初の予定通りに検討が進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まずMKDにおけるNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)代謝破綻とDNA損傷・エピゲノム変調について検討を進める。すでに申請者はCKD患者の血液、尿におけるNAD代謝産物の変容をLC/MSにて測定する系を確立しておりこれを用いて、CKDにおけるNAD代謝系、脂質代謝系、アルギニン代謝と腎機能との関連性について検証し、尿中脱落細胞を用いて非侵襲的に腎臓DNA損傷を評価する方法を用いて、NAD代謝破綻とDNA損傷、エピゲノム変化との関連を検討する。また、申請者はNAD代謝の分解系の酵素でありメチル基転移酵素であるNNMT(nicotinamide n-methyltransferase)発現がCKD患者において上昇していることを明らかにしており、保有するNNMTノックアウトマウスを用いて、糖尿病性腎臓病(DKD)モデルにおける代謝変容のDNA修復反応の障害に対する影響を解析する。また申請者は、NAD 代謝の中間代謝産物であるNMNの近位尿細管における産生低下がDKDの病態に関与していることを報告しているが、更に最近DKDモデルマウスへのNMN投与により尿アルブミンの改善が認められることを報告した(JASN2021)。この成果に基づき今年度は更にヒトへの臨床応用を目指した投与経路や量の検討を行う。一方、腎臓構成細胞におけるDNA損傷修復による代謝変容への影響に関しては、腎臓細胞(ポドサイト、近位尿細管細胞)特異的にDNA損傷を惹起する遺伝子改変マウスが既に作成されており、腎臓DNA損傷により他臓器の代謝変容が惹起される可能性が示唆されており、臓器間シグナルを明らかにする。
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Research Products
(15 results)