2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating mechanisms of therapeutic resistance in breast cancer and the development of innovative therapeutic approach utilizing tumor suppressor activity
Project/Area Number |
20H00543
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
片桐 豊雅 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (60291895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 乳がん / がん抑制分子 / 相互作用阻害ペプチド / 足場タンパク質 / 治療耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、既存戦略とは異なるがん分子標的治療薬の開発を目指し「乳がん関連シグナル抑制因子PHB2」に着目してきた。詳細な機能解析の結果、エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん細胞の細胞質において、研究代表者がこれまでに同定した「がん特異的足場タンパク質BIG3」がPHB2と結合し、その抑制機能を制御していることを明らかにした。さらに「BIG3-PHB2相互作用阻害ペプチド(stERAP)」を開発し、その投与にてBIG3から解放されたPHB2の抑制機能が再活性化することを利用した新たな治療法を提唱した。本研究では、ER陽性乳がんに加えて、他の乳がんのサブタイプであるHER2陽性およびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、治療耐性獲得乳がん細胞におけるBIG3-PHB2の細胞内局在を通じた病態意義解明およびstERAPの新たな治療法としての可能性の追求を目的に本年度も解析を進めてきた。 今年度は以下のことを明らかにした。 1)HER2陽性乳がんの治療薬であるtrastuzumabに対して感受性細胞でのBIG3-PHB2複合体がトランスゴルジ網(TGN)に局在して、がん細胞の増殖、進展に関与する膜・分泌タンパク質の輸送を制御すること、さらにstERAP投与によるBIG3-PHB2相互作用阻害にて分泌輸送が阻害されることを明らかにした。 2)trastuzumab耐性細胞ではこれまでにEGFR-HER2のヘテロ複合体の形成の関与が報告されてきたが、その分子機序は不明であった。今年度、BIG3ーPHB2が細胞膜直下に局在を移動することで、EGFR-HER2のヘテロ複合体の形成に関与することを明らかにした。 3)TNBC乳がん細胞においてBIG3-PHB2複合体はリング状にミトコンドリアに局在し、stERAP投与にてミトコンドリアにリング形成が破綻し、ミトコンドリアが伸長することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)HER2陽性乳がんの治療薬であるtrastuzumabに対して感受性細胞でのBIG3-PHB2複合体がトランスゴルジ網(TGN)にて、膜・分泌タンパク質の輸送の制御してがん細胞の増殖、進展を促進すること、さらにstERAP投与によるBIG3-PHB2相互作用阻害にて分泌輸送の阻害を導き、増殖、進展抑制することを明らかにした 2)trastuzumab耐性細胞においてBIG3ーPHB2が細胞膜直下に局在し、EGFR-HER2のヘテロ複合体の形成に関与することを明らかにした。 3)TNBC乳がん細胞においてBIG3-PHB2複合体はリング状にミトコンドリアに局在し、stERAP投与にてミトコンドリアにリング形成が破綻し、ミトコンドリアが伸長することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度からは、医薬基盤・健康・栄養研究所を主とした研究拠点として移動し、兼務する徳島大学での研究とともに加速させる。 特に、昨年度まで明らかにしてきたHER2陽性乳がん細胞におけるBIG3-PHB2のTGNにおける膜分泌タンパク質の輸送を制御する分子機構の解明について、BIG3-PHB2に結合するタンパク質の探索をプロテオミクスにて進める。また、trastuzumab耐性細胞でのBIG3-PHB2の細胞膜におけるEGFR-HER2複合体との相互作用を通じた制御機構について明らかにする。さらに、TNBC乳がん細胞におけるBIG3-PHB2制御機構の解明について、1)stERAP投与にて観察されたミトコンドリア伸長のメカニズム解明を調べる。2)TNBC担がんマウスを用いたinvivo抗腫瘍効果を調べる。 stERAPをより安定化し、細胞膜透過性を向上させたdouble-stapled ERAP:dstERAP)のエストロゲン受容体(ER)陽性乳がん,HER2陽性、TNBCの担がんマウスにおける長期抗腫瘍効果を導くが、そのメカニズム解明を進める。また、この長期薬効について、免疫系の関与を考えてstERAP(dstERAP)投与後の腫瘍における網羅的遺伝子発現解析を実施して、関与するシグナル経路を明らかにする。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Pivotal role for S-nitrosylation of DNA methyltransferase 3B in epigenetic regulation of tumorigenesis2023
Author(s)
Okuda K, Nakahara K, Ito A, Iijima Y, Nomura R, Kumar A, Fujikawa K, Adachi K, Shimada Y, Fujio S, Yamamoto R, Takasugi N, Onuma K, Marusawa H, Matsushita Y, Katagiri T, Shibata T, Uchida K, Niu SY, Lang NB, Nakamura T, Zhang KYJ, Lipton SA, Uehara T. 他6名
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Pages: 621
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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