2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Integrated Techniques of Enumeration and Optimization Based on Discrete Structure Manipulation Systems
Project/Area Number |
20H00605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湊 真一 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10374612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀山 貴史 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60314530)
瀧川 一学 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任准教授 (10374597)
川原 純 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20572473)
番原 睦則 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80290774)
山口 勇太郎 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30780895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 離散構造 / 演算処理系 / 列挙 / 索引化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (i) 列挙と最適化の統合的アルゴリズム技法の研究と体系化:グラフの最短路問題のように、組合せ問題のアイテムにコストが定義されているときに、コスト総和が所与の閾値以下となるような実行可能解を列挙することは、多くの実用的な応用を持つ汎用的で重要な問題である。このような一般的なコスト制約つき組合せ問題に対して、ZDDを用いて大量の解を高速に全列挙する手法を考案した。実験の結果、実用的な規模の例題に対して、数百万通りの解集合を表すZDDを1秒以内で構築することができた。本研究結果は研究代表者自らが筆頭著者として国内研究会で発表し、今後、国際会議または論文誌での発表を目指して準備を進めている。 (ii) 離散構造処理系の基盤アルゴリズムの実装とソフトウェアの整備:BDD/ZDDをベースとする離散構造処理系のアルゴリズムは、原則として「BDDパッケージ」と呼ばれるソフトウェアライブラリとして公開されている。今年度に開発した高速列挙アルゴリズムの実装もこのパッケージに追加し、整備を進めている。 (iii) 関連分野との連携および応用分野への発展:ERATOや基盤(S)プロジェクトで形成された研究者コミュニティを可能な範囲で維持し、研究者が集まり最新の技術情報を交換する「場」を確保することを目的として、2020年9月17日に「基盤(A) プロジェクト近況報告&自由討論会」と呼ぶオンラインワークショップを企画した。最終的に48名の研究者が参加して活発な討論が行われ、研究者コミュニティの活性化に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り、基本的な線形和のコスト関数に対する超高速な解列挙アルゴリズムの開発に成功しており、初年度の進捗としてはまずまず順調に進んでいると考えられる。さらに本基盤(A)プロジェクトのワークショップで集まった研究者コミュニティを中核として、学術変革領域(A)「アルゴリズム基盤」が2020年11月に採択され、これまでのERATOや基盤(S)プロジェクトでの研究活動をさらに発展させるための「つなぎ」の役割を果たすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果をさらに進展させる。具体的な研究計画は以下の通りである。 (i) 列挙と最適化の統合的アルゴリズム技法の研究と体系化:2021年度は,線形和のコスト関数における列挙と最適化を統合するアルゴリズムについて,前年度に開発した基本アルゴリズムを種々の例題に適用し,その有効性の評価検討を進める.さらに,より複雑な非線形コスト関数に拡張できるかどうかを検討する.近年,制約充足ソルバ(SATソルバ/CSPソルバ)の性能向上が著しいことから,それらの解探索の技法とZDD技法との連携を図ることも有望な突破口となる可能性があり,SATソルバの実装技術を持つ専門家と共にさらに検討を進める. (ii) 離散構造処理系の基盤アルゴリズムの実装とソフトウェアの整備:BDD/ZDDをベースとする離散構造処理系のアルゴリズムは,原則として「BDDパッケージ」と呼ばれるソフトウェアライブラリとして公開されている.本基盤研究の成果もそれらのライブラリに効果的に組み込んで提供していくことが望ましく,どのようなインタフェースが使いやすいのかも含めて検討しながら,着実に実装を進めていく. (iii) 関連分野との連携および応用分野への発展:学術変革(A)「アルゴリズム基盤」および学術変革(B)「組合せ遷移」が昨年度後半に相次いで採択され,理論計算機科学を中心とする研究者コミュニティの発展が期待される.セミナやワークショップについては,学術変革(A)(B)および各分野の第一線で活躍する研究者と今後も研究協力者として定期的に会合し連携を続けていく.海外の研究者との共同研究も,これまでの人脈を生かして継続的に行う. なお,新型コロナウイルスの影響により,研究活動が制約を受けることが予想される.状況に応じて研究計画を修正し進めることとする.予想される.状況に応じて研究計画を修正し進めることとする.
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Research Products
(17 results)