2021 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気的硫黄酸化と電子伝達を活性化した生物学的水処理技術の構築
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20H00641
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10280447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡本 将史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20524185)
押木 守 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90540865)
渡利 高大 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90800540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市下水処理 / 硫黄微生物 / 嫌気性処理 / 好気性処理 / 電子伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
UASBリアクターの保持汚泥に硫酸還元反応が確認されている汚泥とメタン生成古細菌Methanosaetaを集積培養した汚泥を混合した汚泥を使用し,糖蜜と硫酸塩を供給して中間代謝物の評価行った.その結果,UASBリアクター内の温度条件が10℃の水質プロファイルでは,硫酸塩は2.19mMで流入後,リアクター高さ0.1 m で0.45mMまで減少後,リアクター高さ0.2 mで1.11 mMまで増加した.硫化物は硫酸塩の動態に従って,リアクター高さ0.1 mで1.84 mMまで増加してすぐにリアクター高さ0.2 m で0.76 mMまで減少した.この硫黄の動態より,流入からリアクター高さ0.1mまでで硫酸還元反応が主に起きており,リアクター高さ0.1 mから0.2 mで嫌気的硫黄酸化反応が起きていることが示唆された. UASBリアクターの水温を10℃,17℃の条件で運転した時のUASBリアクター内の水質プロファイルと比較することで,嫌気的硫黄酸化反応に対する温度による影響を評価した. UASBリアクター内の温度条件が10℃の水質プロファイルでは,硫黄の動態より,嫌気的硫黄酸化反応が良く起きていることが示唆された.また、17℃の温度条件では嫌気的硫黄酸化反応は起こるが、電子獲得においてメタン生成古細菌との競合が起こることが示唆された. また、バイアルに培地に、UASBリアクターで嫌気的硫黄酸化反応が確認されている汚泥に硫化物と炭酸塩を添加し嫌気的硫黄酸化反応の再現を試みた.その結果、バイアル実験での嫌気的硫黄酸化反応が再現できた.さらに、,嫌気的硫黄酸化反応を電子伝達物質により促進する方法を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験では、UASBリアクターで嫌気的硫黄酸化反応が確認されている汚泥を用いて、バイアルに培地に硫化物と炭酸塩を添加し、嫌気的硫黄酸化反応のバイアル瓶での再現も可能として。これまで未解明であった嫌気的硫黄酸化の現象のメカニズムの解明が各段に進んだ。くわえて、メカニズムを応用した分解反応の高速化のための制御について実験を行い、1.4倍程度分解の促進ができることも明らかにできている。引き続き、嫌気的硫黄酸化に係わる微生物に関して明らかにし、それを、排水処理のUASBに応用していくことで、微生物生態と排水処理装置の制御方法に関して新しい知見が得られることが見込まれることから、本研究は、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
嫌気的硫黄酸化に係わる微生物に関して明らかにし、それを、排水処理のUASBに応用していく。具体的には、電位制御型培養装置を用いた嫌気的硫黄酸化微生物の集積培養、安定同位体ラベル技術と分子生物学的解析技術を用いた反応メカニズムの解明、シングルセルゲノ解析による嫌気的硫黄酸化代謝経路の推定、嫌気的硫黄酸化微生物の純粋培養の試みと環境中での生息域調査、電子伝達促進ゲル担体におけるメタン生成系路の解明と微生物最適化、などを進める。
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