2020 Fiscal Year Annual Research Report
英語授業における即興的スピーキング活動によって生徒の英語力は伸びていくのか
Project/Area Number |
20H00680
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阪田 卓洋 筑波大学, 附属駒場中学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 –
|
Keywords | 即興 / スピーキング / 帯活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
新学習指導要領では,英語の話す力のうち「発表」と「やり取り」が別に定められ,今まで以上に即興性に富んだスピーキング活動を授業に取り入れることが期待される。しかしながら,即興的な発話活動を続けて,生徒たちの英語力は伸びていくのか,客観的に明らかにしたデータは少ないと言える。本研究では,授業の帯活動として1分間の即興発話を行い,その発話語数を所定の用紙に記録させ,その推移をまとめた。 帯活動の流れとしては,①トピックを複数提示(ランダム),②ペアでトピックを選ぶ,③1分間パートナーに話す,④発話語数を記録,である。本来であれば定期的に発話を録音してもらい,その音声データも分析する予定だったが,新型コロナウイルスの感染防止のため,やむを得ず発話語数のみを分析対象とした。 結果としては,2学期に実施した(9回)発話活動の平均発話語数は52.5語,3学期に実施した(20回)ものは60.5語であり,この差は統計的に有意であることが分かった(t(104)=-7.21, p<.01)。その一方で,学期ごとではなく,各回の平均発話語数の推移に目を向けてみると,最初の10回は右肩上がりなのに対し,11回目以降はほぼ横ばいであることが分かった。 この結果から,即興的な発話活動は,それに慣れていない生徒たちに発話の機会をふんだんに与え,発話に慣れてもらう,という意味では効果的である可能性が高いが,そこから継続的にスピーキング力を上げるためには,もう一工夫が必要そうである。例えば,即興的発話活動のあとにインプットを与え,時間をおいて再度同じトピックで発話をしてもらう,というようなサンドウィッチ型のアプローチの効果について検証する必要があるかもしれない。
|