2020 Fiscal Year Final Research Report
ハンセン病療養所内のキリスト教関係史資料及び記憶の保存と継承に関する研究
Project/Area Number |
20H00687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1130:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Tokyo Christian University |
Principal Investigator |
Abe Isaku 東京基督教大学, 神学部, 大学図書館司書
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | アーカイブズ学 / ハンセン病 / ハンセン病問題 / 資料保存 / 療養所内キリスト教会 / 隔離政策 / 好善社 / 共生 |
Outline of Final Research Achievements |
本研究の目的は、国内国立ハンセン病療養所内に存在するキリスト教会の資料保存についての調査である。 コロナ禍での限られた範囲であったが、療養所内の各交流会館と教会へアンケートとフィールドワークを行い、資料・文献の調査と蒐集を行った。特に戦後の療養所内教会と教会員の信仰生活と活動、療養所内外の教会・大学・団体等との交流を好善社発行機関誌に基づき考察した。 自治会活動への教会員の関り、長島聖書学舎(伝道者育成学校)卒業生による患者自らの患者への伝道、韓国療養所との関わり等、全体像は未だ十分に検証・評価されておらず、それら資料保存の課題を検討し、入所者高齢化の中、保存・継承することの意味を明らかにした。
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Free Research Field |
アーカイブズ学
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
本研究は、日本のハンセン病問題をどのように継承するか、その資料保存について回復者の宗教的活動からその意義を考察するものである。 「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が出来、隔離政策を示す様々な資料保存、また入所者の生活を伝える資料の保存も進んでいるが、入所者の内面を知る上での宗教活動の資料や療養所外の人々との交流の歴史等の資料保存は進んでいない。それらは人権侵害のない共生社会育成において幅広い視野をもつため重要で、啓発教育と共に差別解消・人権回復の両輪として要であること、また保存意義の理解を深化させ、資料収集と資料の整理・保存のために更なる人・設備等を充実する必要があることを示した。
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