2020 Fiscal Year Annual Research Report
児童の理科におけるメタ認知 -学習評価等に生きるメタ認知的知識の実態-
Project/Area Number |
20H00780
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
三井 寿哉 東京学芸大学, 附属小金井小学校, 東京学芸大学附属小金井小学校 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | メタ認知的知識 / 学習方略 / 科学的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年告示の小学校学習指導要領・理科では,問題解決の力の育成にメタ認知が求められている。メタ認知に含まれるメタ認知的知識は,人間の認知特性に関する知識,課題についての知識,方略についての知識に分けられる(三宮,2008).さらに,学習方略とは,学習の効果を高めることを目指して意図的に行う心的操作あるいは活動(辰野,1997)であり,理科の問題解決に関わる動機付け,探究の方法と深く関連している.しかし,小学生が理科の学習において問題解決する際に使用するメタ認知的知識としての方略については十分な研究が行われていない. そこで、小学生を対象に,メタ認知的知識の学習方略を中心とした実態や獲得の程度を把握する手法を開発することを目的とし,質問紙調査を実施した. 本研究は,メタ認知的知識を測定する手段の一つである紙面調査を作成し,児童と指導者を対象に調査を行い,両者の回答を照合し,量的分析を行った.質問紙の作成においては,細谷・今村(2017)を参考に,「観察・実験において注意していること」について自由記述で回答する質問を設定した.調査は,第3学年の3学級(児童102名)を対象に,7月と3月に同一項目で実施した.また,各学級の理科を指導した授業者3名(うち1組は理科専科)にインタビュー調査を行った.児童の記述についての解析は,計量テキスト分析KH Coder.Ver3を用いた. 分析の結果,方略に関するメタ認知的知識の記述は,理科の授業を担当した教師の専門性や授業展開を反映する傾向にあると考えられる.ただし,記述した知識を実際に機能させることができるか否かの判断は,本調査のみでは困難であるため,更なる検討が必要と考える.児童が認識している理科の学習方略が抽出可能であること,その内容は授業者の指導や学習環境の影響が大きいことが明らかになった.
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