2020 Fiscal Year Annual Research Report
小学校算数科「データの活用」領域での情報活用型プロジェクト学習を導入した教材開発
Project/Area Number |
20H00812
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山中 圭輔 大阪教育大学, 附属学校園, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 小学校算数科「データの活用」 / 情報活用型プロジェクト学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「データの活用」領域の指導の充実に資するため,新たに〈情報活用型プロジェクト学習〉を取り入れた教材を開発し,この教材が算数科の狙う児童の問題解決能力や批判的思考力の育成に有効であるかを検証することを目的とした。 開発した授業実践は,3つのフェーズから構成した。①フェーズI:プロジェクトのミッションを学級で共有し,具体の生活場面に即した解決問題をグループに分かれて見出した。②フェーズII:問題の解決や考察に必要となるデータの検討や収集方法の計画を立て,実際にデータの収集を行った。③フェーズIII:収集したデータを整理し,問題解決や提案を行った。 本研究の効果の検証は,児童と参観者の二者に対してアンケート調査を行った。アンケートの主眼は,「資質・能力の育成」と「学習プロセスの有効性」の意見集約・検討である。 研究成果として児童の姿を一例にあげると,「下級生に伝えるため」という問題意識を明確に持つ姿や,データの収集に際して,アンケートの計画・実施と学校要覧からの調査という2つのデータに整合性がとれるか検証する姿などが見られた。これは問題発見能力と,批判的思考力の発揮が見取れた具体的な児童の姿である。また,授業参観者より〈情報活用型プロジェクト学習〉とデータの収集・編集・発信という「データの活用」領域での活動に親和性が強く認められることと,問題解決のプロセスそのものに加え,問題解決の過程を自ら振り返るフェーズを設定することが問題解決能力の育成に有効であると認められた。 一方で課題として,〈情報活用型プロジェクト学習〉においては,評価基準が制作物に強く依拠しており,ルーブリックを基にした制作物の総括的評価だけではプロジェクト全体を通しての学びの成果が評価に反映しにくいことが挙げられ,今後,学習者の学習過程を精緻に評価できる指標の作成が不可欠であると考える
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