2020 Fiscal Year Annual Research Report
リスクリテラシー向上を目的としたシミュレーション型安全教育の試み
Project/Area Number |
20H00855
|
Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
生井 智展 小山工業高等専門学校, その他部局等, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 –
|
Keywords | 安全教育 / KYT / 危険体感 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1.目的】現代の工業製品は事故を未然に防ぐ安全装置が備えられているものが大半を占める。高専では、それらの工業製品を開発する未来の技術者を教育している。その在校する学生は、安全な環境で育っている世代でもあり、リスクリテラシーが低い場面を、実験や実習から垣間見ることがある。この時代のニーズにマッチした技術が発達してきたことで起きる、人材のミスマッチを解決するために、シミュレーション型の教育教材の開発を試みる。 【2.方法】今回は、工場などで使用されている設備についての安全を対象に実施する。流れとしては、①導入教育として、法令、ヒヤリハット、事故事例など知識を重視した学習を行う。②KYT(危険予知訓練)をベースとした、作業の中の危険のポイント発見とその対策を考える訓練実施。③危険な状況を実機やシミュレーターで作り、その状況の体感をする。④最後に学習者へ課題を与え、事故が発生しない装置に必要なことは、装置の設定はどうすべきか、などを解答させ評価する。 【3.結果】導入教育後のKYT実施結果からは、知識教授だけでは、応用的な作業や専門的な作業の危険予知の正解例の解答率が低い傾向がある。経験から改善が期待されるが、実習経験一年後のKYTからは、経験したはずの作業の危険予知が不十分であるデータがある。これは、危険と言われた作業を無事故で過ごせた成功体験があり、危険がないと錯覚した結果で、いわゆる“慣れ=危険敢行性”というものを垣間見た瞬間であった。しかしながら経験をしていない作業については、的確な予知もできており、危険感受性の向上は図られている。危険敢行性を抑制させるための危険体感教育を、工作機械の緊急停止やエアシリンダーの飛び出しが体感できるシミュレーターを製作して行った。学生にこの教育を行い、課題やアンケートを実施した。効果的な教育教材が完成したと考え、実習授業の中で活用を始めた。
|