2020 Fiscal Year Annual Research Report
ICP発光分光分析装置を利用した硫化物薄膜の組成分析とNaの定量
Project/Area Number |
20H00955
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
細川 陽子 長岡工業高等専門学校, 教育研究技術支援センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 硫化物薄膜 / ICP発光分光分析 / 薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 Cu2SnS3(CTS)系薄膜太陽電池に着目した。毒性元素や希少元素を含まず、資源戦略的に優れ大規模量産が期待されるが、光電変換効率の低さが課題である。近年、Na等の軽元素を微量に含むことで特性が著しく向上することが見出され、CTS薄膜中に含まれるNa量の定量評価が求められている。本研究では、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)を利用した硫化物薄膜中のNa含有量の定量分析技術の開発を行った。 研究方法 Naを微量含有するCTS薄膜を試料とし、以下の検証を行った。 (1)硫化物薄膜の酸溶解と加熱処理の温度・時間設定等の検討による前処理条件の最適化 (2)標準溶液による検量線作成と微小試料からNaを精度よく定量分析できる試料溶液濃度条件の検討 (3)ICP-AESによる薄膜の組成評価及び、同バッチの試料で作製した太陽電池の光起電力特性に対する組成、構造、粒径の包括的な考察 研究成果 硫化物薄膜に対する酸(硝酸+塩酸)の添加量、及び加熱温度・時間等の最適条件、並びに検量線溶液濃度を検討し、Naを含む構成元素の定量を実現した。実際に作製時の硫化温度を変化させた一連の試料に適用し、硫化温度に対するCu/Sn組成及びNa/(Na+Cu)組成比は、全ての硫化温度で太陽電池に適した化学量論(Cu/Sn=2)より小さい組成の試料が得られ、それらのNa/(Na+Cu)比は7~9%程度でほぼ一定であったことから、硫化後のMo/CTS膜中へのNa取り込み量は硫化温度に依存しないことを明らかにした。このことから、硫化温度570℃以上における変換効率の向上は、Na含有量の変化よりも結晶粒径の増大や結晶構造の単相化の影響が大きいことが示唆された。
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