2020 Fiscal Year Annual Research Report
身近な環境で薬剤耐性遺伝子群を伝播しているプラスミドの同定
Project/Area Number |
20H00969
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
上田 瑞恵 静岡大学, 技術部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | プラスミド / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスミドは、異なる細菌細胞どうしの接触(=接合)によって、プラスミドを持つ細菌(供与菌)から 持たない細菌(受容菌)へと、接合伝達によって移動し、宿主に新たな能力を与える遺伝因子である。プラスミドの接合伝達現象は薬剤耐性菌の出現・蔓延の原因となり、世界各国で深刻な問題を引き起こしている。従って、プラスミドの実環境中における動態の理解は非常に重要である。それにもかかわらず、我々の身近な環境にはどのようなプラスミドがどのくらい存在するのか、という点についてはほとんど知られていない。そこで本研究では、身近な環境試料に、どのような自己伝達性プラスミドがどのくらい存在するのかを調べるために、緑色蛍光タンパク質を利用した、プラスミドキャプチャリングという手法を用いて、自己伝達性プラスミドの収集を試みた。環境試料としては静岡大学浜松キャンパス構内の土壌試料と、浜松市内の河川底泥を用いた。また、今回収集の指標(プラスミド上の遺伝子が付与する薬剤耐性能)とする抗生物質耐性としてはテトラサイクリン耐性を選んで行った。その結果、キャンパス内の土壌よりも河川底泥からの方が、数多くプラスミドを得られた。この結果は、我々の生活により密接にかかわる河川の方が、接合伝達性プラスミドが多く存在する可能性を示していた。今後は、得られたプラスミドの種類について、詳細に調べるとともに、その他の試料についても引き続き調査を続けていく。
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