2020 Fiscal Year Annual Research Report
ラモトリギンの皮膚障害発現リスクに影響する薬剤の探索および基礎的検証
Project/Area Number |
20H01015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂東 寛 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | ラモトリギン / 医療ビッグデータ解析 / 皮膚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんおよび双極性障害の維持療法に適応を有するラモトリギンは、副作用として重篤な皮膚障害が現れることがあり、死亡に至った例も報告されている。ラモトリギンによる皮膚障害は、血中濃度の急激な上昇が関与しており、代謝経路に関与するUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)阻害作用を示すバルプロ酸ナトリウムとの併用でリスクが高いことが知られている。しかし、UGT阻害作用を示す薬剤は睡眠薬、鎮痛薬、免疫抑制薬など多数存在するにも関わらず、それらの薬剤併用によるラモトリギンの血中濃度、副作用発現への影響は不明である。 研究代表者は大規模副作用自発報告データベース(FAERS:FDA Adverse Event Reporting System)を用いて、ラモトリギンとの併用により皮膚障害報告数を上昇させる薬剤を探索した。さらに病院診療録より、ラモトリギン服用を開始した患者を対象とし、ラモトリギンの投与量、併用薬、皮膚障害の有無などを調査した。また、ラットを用いて、ラモトリギン単独投与群とフルニトラゼパムまたはニトラゼパム併用群でラモトリギンの体内動態に変化があるかを検証した。 FAERS解析から、ラモトリギンとの併用により皮膚障害リスクの上昇が示唆される医薬品として、UGT阻害作用を示す薬剤であるバルプロ酸、フルニトラゼパム、ニトラゼパムが抽出された。病院診療情報から、ラモトリギン服用が開始された患者の内、20%程度皮膚障害が認められ、フルニトラゼパム併用患者では皮膚障害発生頻度が上昇する傾向が認められた。 フルニトラゼパムおよびニトラゼパムは、UGT阻害作用を示す薬剤であることから、血中濃度に影響しラモトリギンの皮膚障害リスクを上昇させている可能性がある。また、睡眠薬であることから精神科領域で併用する可能性があり、睡眠薬の選択や併用時の副作用モニタリングに注意を要すると考えられる。
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Research Products
(1 results)