2020 Fiscal Year Final Research Report
腫瘍崩壊症候群リスクの個別化における『尿酸トランスポーター遺伝子解析』の有用性
Project/Area Number |
20H01020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
3180:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
Kondo Masahiro 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 腫瘍崩壊症候群 / 尿酸トランスポーター / 遺伝子変異 / 多発性骨髄腫 |
Outline of Final Research Achievements |
腫瘍崩壊症候群(TLS)は、抗がん剤治療によるがん細胞の崩壊によって細胞内物質が大量放出され、血中の尿酸などが上昇し急性腎障害を来す有害事象である。体内の尿酸量は尿酸トランスポーター(UAT)を介した排泄/再吸収により制御されるが、その能力には遺伝的個人差のあることが知られている。本研究は尿酸上昇を伴うTLS発症と、UATの機能が低下する遺伝子変異との関連を検討した。TLS発症 10例および非発症 38例の保存検体からDNAを抽出し解析した結果、UAT遺伝子の変異によって尿酸排泄能の低下した患者であってもTLS発症リスクあるいは抗がん剤治療中の尿酸値上昇リスクは上昇しないことが示唆された。
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Free Research Field |
臨床薬理学
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
TLSの発症には様々なリスク因子の影響が考えられているが、十分に解明されていない。リスク因子の解明は患者毎のTLS発症リスクをより正確に評価可能とし、発症予防策の確立による抗がん剤治療の安全性および治療成績向上に繋がり得る。 本研究は尿酸トランスポーター(UAT)による尿酸排泄能の遺伝的個人差に着目し、TLS発症に係る新たなリスク因子の探索を目的としたが、見出すことはできなかった。しかし、本研究によってTLS発症にはUAT以外の患者要因、あるいは腫瘍側や治療側要因といった他のリスク因子の関与を考えることができ、当領域における今後の研究の方向性に影響を与える結果であったと考えられる。
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