2020 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトの時計遺伝子に着目した抗がん剤による不眠発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H01047
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白水 翔也 岡山大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 時計遺伝子 / 抗がん剤 / 不眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
〇研究目的:不眠は、がん患者の2人に1人が経験すると言われている合併症であり、抗がん剤治療が制限されることから臨床上大きな問題となっている。これまで、一部の抗がん剤によって不眠が引き起こされることが報告されていたが、詳細なメカニズムについては不明なままであった。これまでの報告より、睡眠の日内変動には「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子群が関与していること、さらに睡眠の日内変動の調節に、アストロサイトの「時計遺伝子」によって放出制御されるグルタミン酸が関与していることが示唆されている。そこで、抗がん剤曝露がアストロサイトの「時計遺伝子」の発現量を変化させ、不眠を引き起こすか否か明らかにすることで、がん患者における不眠の発症メカニズムをより詳細に解明できるのではないかと考えた。本研究ではアストロサイトの「時計遺伝子」に着目し、がん患者における不眠発症の詳細なメカニズム解明を目的とした。 〇研究方法:これまでに不眠を引き起こすことが明らかとなっている抗がん剤パクリタキセルをICR系雄性マウスの尾静脈内に反復投与し、不眠モデルマウスを作製した。不眠モデルマウスよりアストロサイトの多い組織(大脳皮質など)をサンプリングし「時計遺伝子」として知られているClock、Bmal1、Period、CryptochromeのmRNA量をreal-time RT-PCR法により測定した。 〇研究成果:本研究の結果、 Control群と比較して、パクリタキセル曝露群において有意に「時計遺伝子」のmRNA発現量が変化した。この結果から、パクリタキセルがアストロサイトの多い脳組織における「時計遺伝子」の発現を変容させることが示唆された。
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