2020 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた脳血流及び脳温度評価による放射線脳壊死鑑別法の開発
Project/Area Number |
20H01093
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渋川 周平 東海大学, 診療技術部, 診療放射線技師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | MRI / 脳温度 / 脳血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】放射線治療では脳組織の放射線壊死が生じる場合があり,腫瘍の残存及び再発との画像診断鑑別が困難な場合が存在する。造影MRIは一般的な脳脳腫瘍診断として有用だが、この造影効果を示す放射線壊死を腫瘍と鑑別する事は難しい。そこで、造影剤を使用した灌流画像による腫瘍の血流評価に加え、腫瘍周辺の脳温度を測定することで腫瘍の代謝に寄与するパラメータを計測できると仮定し、放射線脳壊死診断の可能性を検証した。 【方法】本法の温度測定は脳脊髄液の拡散係数から算出するため,人口脳脊髄液を用いた温度測定精度の基礎検討を行った.光ファイバー温度計を用いて人口脳脊髄液の温度を実測しながらDiffusion Tensor Imaging(DTI)を撮像し拡散係数とfractional anisotropy(FA)と温度の関係を調べた。次に放射線治療後の脳腫瘍患者群9名に対し、この温度測定法とGd造影剤を用いた灌流画像を取得した。 【成果】基礎検討の結果、温度とFAとの間に相関は認められず、また同一温度において水よりも人口脳脊髄液は拡散係数が低いことが分かった。この結果を基にFAを考慮した温度換算処理を用いることで脳脊髄液の流れや拍動を除去した精度の高い温度計測が可能となった。臨床研究において灌流画像と温度を計測したが温度に対する有意な違いは観察されなかった。これは腫瘍自体の温度測定ではなく,周辺の脳脊髄液による間接的な温度測定であったことが要因の一つと考えられた。一方、灌流画像解析において従来のcerebral blood volume(CBV)による評価よりもpermeabilityを考慮したCBVによる評価が腫瘍再発所見に一致する症例が1例認められた。なお、臨床症例数が目標数に達しておらず、今後はさらに症例数を増やし統計解析による正当性と妥当性の検証が必要と考えられる。
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