2020 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害者を対象とした認知症と成人発達障害の認知機能検査による鑑別
Project/Area Number |
20H01130
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西田 拓洋 高知大学, 医学部附属病院, 臨床心理士
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 軽度認知障害 / 発達障害 / 認知機能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】認知症疾患の診療において,認知症の前段階である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)の段階で診断し,治療開始することが望まれている。しかし近年,MCI者の中に発達障害者に加齢性の認知低下が加わった状態の人が混在している可能性が指摘されている。本研究では,MCIと診断された患者に認知機能検査を実施し,認知症によるMCIと発達障害(ADHD)によるMCIとで比較し,簡便に鑑別できる方法の確立を目的とした。 【研究方法】対象は高知大学医学部附属病院基幹型認知症疾患医療センター外来を受診した11名(M:F=4:7,年齢67.73±13.05)。発達障害検査により認知症MCI群,発達障害(ADHD)MCI群に分け,認知機能検査の結果を群間で比較し,有意差が認められた検査項目に対して判別分析により判別式を作成する。 【研究成果】認知症MCI群6名(M:F=3:3,年齢72.50±11.29),発達障害(ADHD)MCI群5名(M:F=1:4,年齢62.00±13.84)に対してt検定を行った結果,平均値での有意な差は認められたが,判別分析では有意な有効性は認められなかった。 【考察】認知機能検査では記憶を測定するWMS-R下位検査において群間差が示され,認知症MCIと発達障害(ADHD)MCIとを鑑別しうる検査になる可能性が考えられた。また,成人発達障害にみられやすい自己肯定感の低さやうつ傾向などを早期に確認することで治療につなげることができると考えられた。今後,認知症は増加することが推計されている。本研究では,認知症MCIと発達障害(ADHD)MCIとの認知機能検査による鑑別には至らなかったが,神経画像検査が無い施設でも認知機能検査によって早期発見につながるのであれば社会的意義は大きい。今後は症例数を増やして比較,検討をおこなう必要がある。
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