2020 Fiscal Year Annual Research Report
上肢形成不全児の義手装着時間と保護者の義手に対する満足度の関連性の解明
Project/Area Number |
20H01138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 智子 東京大学, 医学部附属病院, 作業療法士
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 小児義手 / 上肢切断 / 作業療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
上肢形成不全児のリハビリテーション治療は,早期から義手を装着し,様々な義手の活用が小児の生活の質向上に繋がると報告されている.しかし,本邦で小児義手のリハビリテーションを専門的に提供できる病院は殆どない.実施できる施設を増やすには,上肢形成不全児に応じた的確な作業療法の提供と日常生活の大部分を共にする家族への指導方法の確立が望まれる. よって,本研究は,小児義手リハビリテーションにおける作業療法士の関わり方や支援方法を検討することを目的に,義手リハビリテーション治療を受ける児の親に対し質問紙調査を行い,義手装着に関する因子を検討した. 0歳-8歳の男児12名,女児5名の親17名から回答を得た.親の満足度の高さと装着時間の長さは有意な相関を示した.項目の中で義手の有効性や調整のしやすさ,使いやすさなどが有意水準を満たした.さらに義手を活用する上で困っていることがあると回答した親は70%であり,活用する際に使用する段階別チェックリストや他児の義手活用動画があると良いなどの回答があった.義手を使用することで日常生活に好ましい変化があったと回答した親は82%であった.理由は,遊びの幅広がった,両手で作業ができる,義手を使わないとできない遊びにチャレンジできたという回答があった.好ましくない変化があったと回答した親は12%であり,相手との距離感や素材の硬さを理解できない時期は危険な場面があったと回答があった. 以上より作業療法士は,児の日常生活動作に応じた両手動作プログラムを積極的に実施し活動の幅拡大に結びつけ,義手の有効性を児と親に示すことが大切である.また,段階別チェックリストを作成しスモールステップで成功体験を積み上げること,さらに他児の使用場面を提示し,様々な使用方法を共有することが多様な活動に繋がると考える.
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