2020 Fiscal Year Annual Research Report
生分解制御手法の確立を目指した海洋環境における微生物ポリエステル周辺微生物叢解明
Project/Area Number |
20H01171
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 美和 群馬大学, 理工学部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 生分解性プラスチック / 微生物産生プラスチック / プラスティスフィア |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋中で容易に生分解されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の実用化のためには, 分解開始時期および分解速度の制御が不可欠である。このためには, PHAの海洋分解機構を明らかにする必要がある。最近の研究によりプラスチックの生分解では, プラスチック表面の微生物集団(微生物叢)構造(Plastisphere)が大きな役割を果たしていることが示唆されている。本研究では, 海洋中でのPHA Plastisphereとこれらが持つPHA分解・代謝関連遺伝子を解析し, PHAの生分解性制御のブレイクスルーとなる知見を得ることを目的とした。 茨城県ひたちなか市より採取した海水にPHBVフィルムを浸漬させた。1,2,3カ月後にフィルムを回収し、その重量減少量を測定した。浸漬時間の経過に伴うPHA表面微生物叢および浸漬海水の微生物叢の変化を解析するため、ショットガンメタゲノムシーケンス解析を行った。また、海水に浸漬させたPHA表面を微生物源とし、PHA分解菌の探索を行った。 海水への浸漬時間の増加に伴い、PHBVフィルムの重量減少量は増加した。PHBVフィルム表面および海水濃縮物のメタゲノムDNAを解析したところ、PHBV表面には海水と異なる微生物叢が形成されることが明らかになった。また、浸漬時間の経過に伴い、これらの微生物叢は変化した。PHBVのメタゲノムDNAからPHBVを分解する酵素(P(3HB)分解酵素)遺伝子に相同性をもつ遺伝子が検出された。加えて、PHBV表面からPHA分解微生物が単離された。
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