2020 Fiscal Year Annual Research Report
学際的研究による「懐かしい匂い」とアートを用いた回想法プログラムの構築
Project/Area Number |
20H01223
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Research Institution | Saga University of Arts |
Principal Investigator |
松本 泰章 嵯峨美術大学, 芸術学部, 教授 (00331702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 晶 京都看護大学, 看護学部, 教授 (10207722)
小林 剛史 文京学院大学, 人間学部, 教授 (30334022)
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
岩崎 陽子 嵯峨美術短期大学, その他部局等, 准教授 (70424992)
真板 昭夫 嵯峨美術大学, 芸術学部, 名誉教授 (80340537)
杉原 百合子 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (90555179)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 匂いのアート / 回想法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である高齢者のための匂いのアートを使った記憶想起と、それに伴う発話行為の効果を計測し、高齢者の感情の活性化、発達課題の達成、さらには認知機能維持・向上に資するための研究を進めている。研究グループを『アート制作』『心理』『精神医学・看護』の3チームに分け相互の研究課題や結果を共有しながら進めているが、そのための海外での研究は新型感染ウィルスの世界的な流行で大幅に遅れている。その分の時間と労力を国内での研究方法の開発に注力したが、国内に於いても対面での実施調査が困難なため非対面でも可能な方法を模索した。その一つとして高齢者施設や自宅でも利用可能なアート作品を開発した。従来の回想法をベースに、匂いのアートで喚起される記憶を効果的に引き出す回想法の調査方法を応用したナラティブアート体験キットを作成し被験者に送る方法を考案し制作した。その体験キットの試作を用いて研究メンバー内での実験を行った。実験の結果は予想以上の反応を得ることが出来たが、多くの問題も見つかり、今後の研究の課題となっている。対面が許される状況での研究として、感染がある程度落ち着いた時期に匂いを用いた展覧会を企画し会場でのアンケート調査を行いその結果を分析した。その結果匂いと記憶の関係がより多くの事例として採取でき、次回の研究方法の参考になった。 また、芸術作品と匂いと記憶の基礎的な研究としてイギリスのアーティストに協力をえて準備も進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究グループを『アート制作』『心理』『精神医学・看護』の3チームに分けて、研究を行った。 『アート制作』グループは、コロナによる高齢者施設の訪問が不可能になったことによって作品を郵送する方法を開発し、制作と実験を行った。またコロナ感染の弱まった10月には京都市内での展覧会を行い多くのアンケート結果を得る事が出来た。『心理』グループは海外のアーティストとリモートで連係し匂いの効果測定のためのオブジェを開発した。『精神医学・看護』グループはナラティブクエッションを参考にし、高齢者への語りを効果的に引き出すガイドブックの編集を行い試作を用いて関係者間でより精度を高めるよう工夫しているが、実際の高齢者との対面調査が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
『アート制作』グループは、作品の郵送による調査を実施し、問題点の改良を行う。また、効果的な作品展を市内のギャラリーで展示し、より一般的な匂いと記憶の効果を検証する。また、『心理』グループは海外のアーティストと匂いの効果測定のためのオブジェを開発し、そのオブジェを用いた効果測定手法の研究と実験を行い、心理学的分析を行う。『精神医学・看護』グループは郵送によるアート作品の体験結果の分析を行い、より効果的な語りの採取方法を研究する。また3グループの研究成果を相互に報告し、問題点や発見を共有し、効果的な研究手法を開発する。
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Research Products
(8 results)