2020 Fiscal Year Annual Research Report
International Research on Spoken and Written Corpora of Learners of English, Chinese and Japanese through University-High School Collaboration
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20H01278
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
望月 圭子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90219973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 亮 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (10403312)
小柳 昇 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 研究員 (40705860)
申 亜敏 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 研究員 (40723276)
根岸 雅史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50189362)
野村 恵造 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60172813)
赤堀 侃司 公益財団法人学習情報研究センター, 研究開発, フェロー (80143626)
伊藤 篤 中央大学, 経済学部, 准教授 (80500074)
張 正 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (80869868)
石川 慎一郎 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (90320994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高校生英語スピーキング縦断的研究 / 英語・中国語・日本語による対話学習者コーパス / 遠隔コミュニケーションの脳科学的研究 / 英語スピーキング評価研究 / 遠隔コミュニケーションの最適化 / 英語・中国語・日本語双方向学習者コーパス / 遠隔による高大連携教育の最適化 / 英作文添削・解説文自動付与システム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、英語学習者コーパスは、高校生48名による20カ月縦断対話データ収集を完了し、データベース化した。さらに、20カ月目に、実験群48名と比較群(20カ月英会話レッスンを受けていない高校3年生22名)に、Aptisスピーキングテストを実施し、音声の文字化、流暢さの分析、20カ月スピーキング教育の効果検証を行った。 第二に、中国語・日本語学習者コーパスは、中国湖南大学日本専攻と協働し、対話テキストを製作し、東京外国語大学中国語専攻と湖南大学日本専攻の学生とペアになり、毎月1回、「遠隔による30分中国語・30分日本語一対一の対話交流」を実施し、対話の映像音声をデータベース化し、分析した。分析の結果、上級中国語学習者による発話データにおいても、未実現の助動詞の脱落、動詞構造の結果補語・方向補語の脱落が顕著であることを発見した。 第三に、脳科学との協働による遠隔コミュニケーション研究においては、東京大学工学研究科片桐研究室と協働し、4名によるディスカッションが「遠隔と対面では、どのように異なるか」を脳波から分析する予備実験を行い、遠隔と対面の脳科学的相違は、視線の移動が、「対面では対話相手の表情を読み取るために、高速に移動している」のに対して、遠隔では「相手と視線が合わず、視線の移動が少ない」という結果を得た。 第四に、英作文の自動添削・解説文システム開発研究では、スピーキングレッスンを受講した48名の高校生の英作文に対して、英語母語話者による添削・解説文データベースを作成し、利用者の共感性を高める英作文自動添削システム構築をめざした。 第五に、国際出版として、Springerから出版予定のLearner Corpora: Construction and Explorations in Chinese and Related Languagesの執筆編集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
感染症による緊急事態宣言下での研究ではあったが、第一に、対話学習者データは、基本的に遠隔によるものであったので、順調に、徳島県・長野県の高等学校、中国湖南大学との連携をすすめ、遠隔による対話学習者データを収集することができた。また、中国からもアクセスできるように独自に開発した学習プラットフォームMoodleを活用し、作文提出・添削・フィードバック返却というICT教育システムの効果を検証できた。 第二に、高校生英語スピーキング縦断的研究においては、20カ月目に、British CouncilのAptisスピーキングテストを被験者65名に実施した。高校側のICT環境が十分ではなく、テストをインストールしたPC8台を高校に送ることにより実現し、Aptisスピーキングテストの音声データも研究目的に提供され、統制された条件下で、実験群・比較群65名の高校生によるスピーキングの流暢性の分析が可能になった。 第三に、脳科学との協働において、東京大学工学研究科片桐研究室と脳波計を用いた予備実験を重ねた結果、研究課題として、遠隔と対面では、ディスカッションにおけるコミュニケーションが、どのように異なるかという研究課題を設定し、予備実験を重ねることができた。予備実験の成果として、遠隔と対面の脳科学的相違は、視線の移動が、対面では対話相手の表情を読み取るために、高速に移動しているのに対して、遠隔においては、対話相手と視点が合わず、視線の移動が少ないという対比が、脳波から分析された。こうした脳科学との協働により、効果的な遠隔ディスカッション研究への新たな視点が生まれ、脳波計を用いた研究の技術的な基礎が理解可能となった。 第四に、英作文の自動添削・解説文システム開発研究では、脳科学との協働で得た「共感性」という新たな視点から、共感性の高い英作文添削・解説文データベースの製作にとりくむことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、英語学習者コーパス研究は、2020年度は、高校生20カ月縦断的対話データを48名収集を完了、さらに、20カ月目に、高校生に、Aptisスピーキングテストを実施し、その「スコア及びスピーキングテストの流暢さの関係」の分析を開始したが、2021度は、25名の分析を目標に、「流暢さ」と「スピーキングテストの評価」との関係を研究する予定である。さらに、学習者の20カ月レッスンの音声・文字化コーパス公開の準備を進める。 第二に、中国語・日本語学習者コーパス研究は、継続して、中国湖南大学日本専攻と協働し、遠隔による中日語対話交流を実施し、主に上級中国語学習者の対話の流暢性を分析し、上級中国語学習者のCefrに基づくスピーキング評価の研究を行う。さらに、Springerから出版予定のLearner Corpora: Construction and Explorations in Chinese and Related Languagesの執筆編集をすすめる。 第三に、脳科学との協働による遠隔コミュニケーション研究においては、東京大学工学研究科片桐研究室と協働し、脳波を用いて、4名によるディスカッションが、遠隔と対面では、どのように異なるかを、20名の被験者に対して、遠隔と対面の脳科学的研究をすすめ、視線の移動が、対面では対話相手の表情を読み取るために、高速に移動しているのに対して、遠隔においては、対話相手と視点が合わず、視線の移動が少ないという対比を実証する。視線の分析に加え、ディスカッションのテキスト化を行い、総合的に遠隔と対面のコミュニケーションの相違を分析する。 第四に、英作文の自動添削・解説文システム開発では、第一の研究で上述した高校生の英作文に対して、テンス・アスペクトを表す助動詞に関わる添削・解説文データベースを日本語のテンス・アスペクトと比較しながら作成する。
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Research Products
(44 results)